「半島統一」

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5月3日、朝鮮の各中央紙は、故・金日成が祖国統一の3大原則を闡明した45周年に際して署名入りの論説を掲載しました。

論説では、北南朝鮮が対立してきたのは、南朝鮮の歴代支配層がアメリカ等の外部勢力に対して無条件的に従ってきた為とし、南朝鮮の傀儡保守一味を粉砕することで半島統一が成しえると主張しています。

要するに、韓国に対して西側でいる事を止め、半島独自で統一しようということです。

以前、「高麗民主連邦共和国と南下する38度線」のエントリーで、故・金日成が提案した南北統一案を取り上げたことがありますけれども、そこでは北朝鮮と韓国が互いの思想と政治体制を保持したまま、統一する一国二制度型の連邦政府構想でした。

ただ、韓国に対して、国家保安法撤廃、韓国内での共産党結成の容認、在韓米軍撤収を求めていますから、一国二制度といいながら、韓国を西側諸国から離脱させる事も視野に入れた構想であると言えますね。

その意味では、今回の北朝鮮各紙の論説もそれに沿ったものではないかと思われます。

無論、これは、韓国の次期政権を睨んでの事です。

昨年12月、金正恩は最高幹部を前にして、「南朝鮮世論に北南和解ムードを拡散せよ」と檄を飛ばし、今年の正月に行われた国政方針を語る「新年の辞」で「南朝鮮では昨年、大衆的な反政府闘争が強力に繰り広げられた。保守当局への恨み、怒りの爆発だ……北南関係改善を望む者なら、誰とでも喜んで手を取り合っていく」と揺さぶりをかけています。

大統領選挙で支持率トップを走る「共に民主党」の文在寅氏は「大統領に当選すれば、まず北に行く」と発言し、開城工業団地の南北共同事業再開に積極的です。

現在韓国では、チェ・スンシル氏の国政介入事件に関連して、朴政権に批判的な芸術家や俳優など文化・芸術界関係者をリストアップした「ブラックリスト」作成疑惑に関する裁判が行われているのですけれども、その中で朴槿恵政権の初期、セヌリ党最高委員らと夕食をしていた朴槿恵元大統領が『李明博元大統領が左派清算をしなかったので国が異常になった』と嘆いていたとの証言があったことが明らかになりました。

当時の朴政権は、従北勢力サポートの実態を全数調査し、それに対しての措置をしようとしていたようです。

これが本当であれば、今の韓国大統領選挙に対しても相当に、北朝鮮の工作が入っている可能性があります。

実際、保守系で唯一の有力候補と目されていた、潘基文前国連総長は大統領選に不出馬となりましたけれども、北朝鮮の対南工作機関・党統一戦線部がインターネットを通じ、潘氏の不都合な情報を流布していた、との情報もあるようです。

その意味では、文在寅氏が次期韓国大統領になることは願っていることでもあり、このタイミングでの社説は、文在寅氏に対して、政権内の"従西側勢力"を駆逐せよ、と指示しているとも取れなくありません。

これが、実施されると、朴槿恵大統領が従北勢力をナントカしようとしていたことの逆が起こる訳ですし、引いては、半島が統一されないまでも、政治思想的な赤化統一が為されることになります。

韓国国民がそれを望み、そちらに突っ走るのかどうかは分かりません。けれども、韓国が"レッドチーム"入りするようなことがあれば、日本の国防において最前線は38度線から日本海に後退することになります。

日本は、もうそうなっても対応できるように準備を進めておくべきだと思いますね。

日比野庵

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