「元凶」

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商業用の不動産価格が全国平均で2割下落すると、約350の地方銀行や信用金庫のうち約4割が赤字に転じる――。日銀が先週19日に公表した「金融システムリポート」に衝撃が走っている。

■地銀・信金の不動産依存は誰のせい?

「不動産投資の中心である外国人投資家が、何かのきっかけで日本市場から引き揚げれば、2割下落なんてあっという間です。暴落すれば、破綻に追い込まれる地銀、信金が相次ぐかもしれません

地銀、信金の4割が赤字転落、破綻なんて事態に陥れば、地方経済は間違いなくガタガタになる。やがては金融業界全体に深刻な影響をもたらすだろう。だが、そもそも、この危機の原因をつくった“張本人”は日銀自身ではないのか。

日銀は今、マイナス金利政策で金融機関の尻を叩き、貸し付けを促しているものの、実際には企業融資はほとんどない。

そこで、これといってめぼしい貸出先が見つからない地銀、信金は、資金需要の豊富な不動産にバンバン投資している。要するに地銀、信金の“不動産依存”は日銀の政策が招いたといっていい。

にもかかわらず、「不動産価格が下落したら地銀、信金はあっという間に赤字だよ」なんてマッチポンプのような無責任なリポートをまとめたワケだ。

「マイナス金利のため、利ザヤの高い不動産に走らざるを得ない金融機関があることは承知しています。ただ、2013年の量的・質的金融緩和以降、国債だけでなく、貸し出しやリスク性資産へのシフトを促しており、その結果、いろんな分野への貸し出しが増えているのも事実。不動産市場についてみれば、個別に注意すべき動きはあるが、全体としては過熱しているとは考えていません」(日銀金融システム調査課)

つまり、日銀に責任はない、と言いたいらしい。

「金融はミクロが大事です。一行でも破綻すれば全体に広がるからです。“マクロでみて大丈夫”というのは、自らの政策を正当化するためではないか。かえって現場の深刻さを隠しかねない危険なメッセージです。金融政策の当事者でありながら、現場を見ないで、評論家のような日銀の姿勢に、地銀の幹部はカンカンですよ」

これじゃあ、もはや「通貨の番人」なんて、誰も呼ばないだろう。

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