「汚職」

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なぜ韓国は大統領の「汚職」が繰り返されるのか

下條正男(拓殖大教授)

韓国の憲法裁判所が「罷免」の結論を出したことはやはり、世論に押されたと言うことでしょう。これまでに廬武鉉も大統領だった際に弾劾訴追を受けましたが、その時の世論はマスコミも含めて罷免への反対が多かった。

でも、朴槿恵の場合はその逆だったために罷免になったとみるのが妥当です。要は多くの人がなんとなく感じていると思いますが、韓国の司法そのものが本来の機能を有していない。そうした未成熟な国であることの認識が日本人はまだ薄いだけに、韓国で起きる一連の事象に驚くわけです。

そもそもアメリカや日本といった国は民主主義というものをきちんと経験していていますが、中国や韓国といった国々は本当の民主主義を知らないんです。それでいて中央集権的な政治なので、支配する側と支配される側の構造しかないから常に双方が反発する。

結局、今回も国民が反発して朴槿恵政権を潰したわけですが、教訓を生かして次のステップに上げる体制を作れるかというと、できないでしょうね。なぜなら壊すことはできても作ることはできないからです。それが韓国や中国の傾向で、だから絶対的な権限を持つ大統領を利用して、近親者が不正に手を染め政権を危機に陥らせることを繰り返してしまうんです。

アメリカの場合であれば、大統領の任期ごとに軌道修正をすることができる。それは市民権や民主主義というものを知っている人たちがいるからです。でも韓国や中国などは社会が本当の民主主義を経験したことがないんです。韓国は急に独立してしまって、プロセスを経て国を作ったことがないので、どうやればいいかわからない。

だからいったん混乱状態になると抑える人がいない。そこを我々は理解しておかないといけないのに、日本の評論家の多くはあの韓国での「ろうそく集会」を民主主義の典型だと言う。

それは全く違いますよ。韓国はまだ壊すばかりで作ることができないんです。民主主義が浅いために何をどうしていいのかわからず、今までは反発勢力を押さえつけるだけだったわけです。

では、なぜこうした状況になっているかを考えると、明治維新以降、朝鮮や中国、ベトナムなども明治維新をモデルにしたけど、全部失敗したんです。準備ができていないのに、急に中央集権を地方分権に変えようとしても無理があった。

これをどうかしないといけないと動いたのは伊藤博文だった。朝鮮半島を近代化しようと政策を実行し、一定のレベルまでいったが、協力する人たちが戦後に「親日家」の烙印をおされてしまった。そんな状況が続く中で、日本が先の大戦について一方的に謝罪する「村山談話」が出てきたために、韓国のブレーキが効かなくなり、元に戻ってしまったんです。

日本側の対応のまずさを象徴的するのは、慰安婦問題です。日本側が10億円を拠出して、せっかく合意に至ったかと思いましたが、結局、釜山に慰安婦像を設置する事態になった。日本の駐韓大使と釜山の総領事が帰国しましたけど、2カ月間も経過してしまい、タイミングを完全に逸してしまった。

新政権で強まる「反日」

これは韓国に問題があるのは言うまでもないですが、やはり日本側の対応にも大いに責任があるんです。安倍政権の支持率は高いでしょうが、やはり韓国という国の現状をきちんと理解して対処できているとは言えません。もちろん野党も同じで、民進党にもできない。

現時点で適切な対処ができる政治家は日本にどれだけいるでしょうか。なぜかと言えば、日本は中央集権と地方分権を両方経験してきたけど、地方分権的な思考が強いだけに対処法を知らないから、それをできるリーダーが育たない。国会を見ていると、田舎の議会みたいな議論ばかりしているじゃないですか。結局、政治というものを分かっていないんです。

安倍首相を「猛獣使い」だと評価する人もいますが、重要な政治判断で小回りはきくけど、大局ではできない。ゆえに日本はトランプのような人物が大統領になったアメリカにどう対応すればいいか分かっていない。ロシアも含めて振り回されるだけになっている。

安倍首相以外に適任者がいないから目立っているだけ。巷間で奥さんとの不協和音が流れて来る人が、トランプやプーチン、習近平らとうまくやれるはずがないじゃないですか。

本来、慰安婦問題で日本が大使らを帰国させたのなら、同様な両国の認識で対立する別のカードを切らなきゃいけない。それが竹島なんですよ。そういうことが分かっている政治家は少ないのではないでしょうか。安倍首相には人選を厳しくしてほしいものです。

ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の横で抗議する若者ら

ドイツにも慰安婦像設置だとか言ってますが、日本がこんな対応しかできないならヨーロッパ中に設置されて、そのつど日本がアタフタするだけ。慰安婦問題でドイツと対立するのは賢明ではありません。

近く韓国は大統領選をすることになりますが、有力なのは左派の文在寅です。朴槿恵が罷免にならなければ、有力候補に変化もあったかもしれませんが、すでに保守派は分裂しているし、こういう結果になった以上、左派で親北朝鮮の野党が躍進していくでしょう。

金正男暗殺などで北朝鮮への危機感は募ると考えがちですが、もともと韓国に北朝鮮シンパも多いわけですから、文在寅が有力であることは変わらない。もはや韓国国民が北朝鮮情勢を考慮して大統領を選ぶことはない。

そして、新政権は当然、朴槿恵政権をすべて否定してきますから、日本との関係改善をすべて反故にして、「反日」的な傾向は強くなっていくと思います。だからこそ、日本は韓国の新政権に対処できるよう、韓国がどういう国なのかを冷静に認識する必要があるのです。

ironna

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