「都議選」

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「小池台風」が民進党の蓮舫代表そのものを吹き飛ばす-。

東京都議選(7月2日投開票)をめぐり、小池百合子都知事が民進党を突き放す姿勢を鮮明にしている。2月5日の千代田区長選で圧勝した勢いもあり、小池氏は民進党との候補者調整を断り、都議選で自前候補を大量擁立する方針へと転換。

民進党幹部は「このままなら現有18議席の3分の1程度しか取れない」と惨敗を予想する。東京を地盤とする蓮舫氏自身の進退にも影響する重大局面を迎えそうだ。

「私から(小池氏との)連携を模索してると、これまで明言をしたことはないと思っている」

蓮舫氏は9日の記者会見で、小池氏が都議選で民進党との全面的な連携を否定した感想を問われ、苦し紛れにこう釈明した。

昨年来、民進党が命綱としてきたのは、都議選で小池氏サイドから推薦や支援を得ることだった。党都連は年末から、小池氏側と候補者の「棲み分け」調整を交渉。都議会自民党を共通の敵と位置づけ、事実上の“小池新党”となる地域政党「都民ファーストの会」の候補と選挙区で競合しないよう、平身低頭で協議を重ねてきた。

しかし関係者によると、小池氏側は1月、都議選を想定した大規模な世論調査を実施。公明党は手堅い集票が見込めたが、民進党候補は「驚くほど基礎体力が弱い」という結果が出たという。民進党が票田とする無党派層の支持がごっそり小池氏に流れることや、民進党の政党支持率が1ケタ台に低迷していることが「弱」の理由だ。

民進党と連携した方が、都議選ではマイナスイメージがつく-。小池氏側がそう判断したのも無理はない。小池氏側は一時、定数2~3程度の中小選挙区に民進党候補がいる場合、民進に推薦を出した上で自前の候補を立てないことも検討していたが、全42選挙区に候補を擁立する方針に転換。定数が多い大選挙区には複数の候補も出し、単独で過半数を目指す強気の姿勢に転じた。

小池氏への追い風は止まず、2月5日の千代田区長選では、小池氏が支えた現職が自民党推薦候補に3倍以上の差をつけて圧勝した。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が1月28、29両日に行った世論調査では、支持率78・7%をたたき出した小池氏。民進党の助けを得なくとも、都議選で十分勝算が立つのは明らかだ。

弱者は用なし-。非情な決断に慌てたのが民進党だ。党の重鎮は「都議選で小池氏の『自民退治』に注目が集まれば、結果的に割を食うのは民進党」と焦りを募らせる。

別の閣僚経験者は「選挙区ごとに個人的なシミュレーションをしたが、小池氏から支援をもらえなければ、最悪で1議席程度に終わる可能性もある」と肩を落とす。

「われわれ民進党東京都連は、小池知事を支持するという主張に、全面的に賛同する」
民進党都連の松原仁会長は2月1日に緊急会見を開き、小池都政への全面支持を表明した。これは、候補者調整が暗礁に乗り上げたことへの焦りの裏返しでもある。

一方で、党都連は2日に全公認予定者を対象にした説明会を開催。都議選の公認予定者だった元都議2人の離党などを報告した後、「まず民進党として自力で頑張る」(松原氏)との原則を確認した。

離党した2人は、すでに小池氏側から公認内定を受けている。民進党内には「2人を小池氏との交渉の架け橋になってほしい」との悠長な意見もあるが、党都連の受け止めは違う。関係者は「突然離党届を出され、慌てたのが本音だ。泥舟から逃げる人間をいかに減らすか、今は組織を引き締めている」と厳しく語る。砂上の楼閣が崩れるように、今後も「小池印」を求めて離党者が続出しかねないとの危機感の方が強いのだ。
 
民進党が都議選で大敗すれば、「選挙の顔」として期待され、参院東京選挙区選出でもある蓮舫氏の責任問題に結びつくのは明らかだ。

今は空いた時間に公認予定者の事務所などを回っているようだが、小池氏と腹を割って候補者調整を再打診するなど、岩にかじりついても勝利を目指す姿勢はみられない。

9日の会見では、都議選の対応について「基本的には都連がしっかり対応していくものだが、党としてもバックアップをしていく」と他人事のように語った蓮舫氏。

党内では都議選直後の「蓮舫降ろし」も念頭に、松野頼久元官房副長官が新グループを立ち上げるなど不穏な動きも出始めている。あやかろうとした「小池台風」が、蓮舫氏そのものを吹き飛ばす悪夢が現実になろうとしている。

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