「札束か脅しか」

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西アフリカに、サントメ・プリンシペ民主共和国という小国がある。ギニア湾に浮かぶ、人口163千人の島国で、1975年にポルトガルから独立したが、世界最貧国の1つであり、経済は破産状態にある。この小国が、昨年の暮れ、いきなり台湾との国交断絶を宣言し、数日置いて中共との国交を結んだ。(実際は国交回復)

なぜこの小国が…とも思ったが、カネで釣られたことは容易に想像できた。中共はアフリカ大陸にカネをばら撒き、そのカネの力によって、シンパを増やしているのだ。その策略の一端が、同じ西アフリカにあるブルキナファソによってリークされた。

中国、台湾との断交提案 ブルキナに5兆円示す “金銭外交”露呈 (共同)

中国が台湾と外交関係のある西アフリカのブルキナファソに対し、500億ドル(5兆6600億円)の供与を条件に台湾との断交と中国との復交を持ちかけていたことが26日、分かった。米ブルームバーグ通信や台湾紙が報じた。

中国は、台湾で昨年5月に発足した独立志向の民主進歩党(民進党)の蔡英文政権に対し、外交的に孤立させる戦略で圧力をかけているが、“金銭外交”の一端が露呈するのは珍しい。

同通信によると、バリー外務・協力・在外ブルキナファソ人相がこの問題を明らかにし「台湾はわれわれの友人であり、(金銭供与で)外交関係を見直すことはない」と語った。

台湾の外務省報道官はバリー氏の外交姿勢を歓迎し「台湾との関係は一貫して安定している」と強調した。台湾は職業訓練や衛生、太陽光発電など26項目の支援を進めている。

中国は、中台は不可分の領土とする「一つの中国」原則を受け入れない蔡政権に不満を強めている。(共同)

ブルキナファソのGDPは、約120億ドルだ。支那は、この国の4倍強のカネをぶら下げ、そのバーターとして、台湾との国交断絶を要求した。台湾との国交断絶、中共との国交回復というプロセスから見ても、サントメ・プリンシペを転ばせたのも同じ手口だろう。彼等は、政治体制をカネで買い上げるのだ。

日本の2014年におけるODAの実績は157.1億ドル。米、英、独に続いて、世界第四位である。ところが、そのODA大国の日本が「追いつけかないと…」と悲壮感を以て臨むのが、対アフリカの経済援助である。

JETROによれば、中共の対アフリカ直接投資は、2011年末の累計で150億ドルにのぼる。まさに湯水のごとくカネをばら撒いている状況だ。資源分野においては「開発と名の付く略奪」を進めるため、支那本土から大量の資本、物資、労働者などを送り込む。

その中共との2国間関係で、累積総額において最大の援助をしているのが、我が国日本である。情けないことに、日本の対支援助は中共を太らせ、その太った中共が支援国の数倍、数十倍の額を他国に援助しているのだ。

そしてそのカネは、資源の搾取のみならず、サントメ・プリンシペやブルキナファソの例にある通り、対日、対米、対華の目的で使われているのだ。相手に対抗させるための中共への経済援助など、本末転倒である。

ブルキナファソの骨のある外交には、賛辞を贈るべきだろう。一方、何でも金で買えるとばかりに、札束外交を繰り広げる中共は、こんなニュースは意に介さないだろう。

日本が取るべき態度は、第一に、経済や技術を含む中共への一切の援助を止めることだ。

加えて、自由と民主主義、法の支配という価値観を共有する国と連携し、支那の異様さを国際社会の場で炙り出すことだ。

日英両政府が、26日、自衛隊と英軍が物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ASCA)に署名したという。良い動きだ。

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