「政府の横暴」

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中国で女性激怒「扱い人間以下」…「一人っ子」撤廃、避妊用具摘出も“謝罪”なき政府

一人っ子政策を撤廃した中国で、子宮内避妊用具(IUD)の「無料取り外し」をアピールする政府に対して女性から不満が噴出している。かつて半ば強制的に装着をすすめたことにおわびもなく、政策転換をはかっているからだ。
除去には手術が必要で激しい痛みが伴うこともあり、「人の体を傷つけておいて今度は修繕か」などと怒りの声が出ている。

摘出には手術が必要

中国は人口増加を抑えるために1980年代から一人っ子政策を続け、政府統制のもと厳しい産児制限を行ってきた。人口抑制を確実にする手段として利用されたのが、第一子を出産した女性に対するIUDの装着だ。

中国紙が報じる政府統計によると、2006年までに、避妊女性のほぼ半数に当たる1億1400万人がIUDを装着したという。中央政府からの評価を高めようとして、地方政府は数字を競い合ったとも指摘されている。

一人っ子政策の徹底をはかるため、一度装着すると健康問題以外では基本的に取り外すことは想定されていなかった。このため他の国々のIUDと違って中国のそれは摘出しにくく、その場合も普通は手術が必要だという。

「無料」をアピールするも

しかし、政府が政策を180度転換したことで、一世代にわたる慣行が障害となって立ちはだかった。

中国は昨年1月、少子化の進展に伴う人口減への懸念からすべての夫婦に二人目の子供を持つことを許可したが、多くの女性は一人っ子政策下でIUDを装着したままだ。このため担当部局はIUDを装着して第二子を望む女性に対し、無料で取り外しを行うとアピールし始めたのだ。

無料とはいえ、子供が欲しい女性は手術を受けることになる。「新たな政策により、子供を望む多くの女性がふたたび痛みを伴うプロセスを耐えることになる」。中国共産党機関紙、人民日報系で政府の意向を代弁することが多い環球時報さえ、同情的に報じた。

欧米メディアは女性たちの怒りの声を伝えている。

米紙ニューヨーク・タイムズに36歳の女性は「そもそもこんなものすべきではなかった。政府は今度はまるで国による保障だと言わんばかりだ」と怒りをぶちまけた。女性は2012年に一人目の子供を出産後に担当職員が自宅に来てIUD装着が必要と告げられ、不本意ながら応じたという。

同紙は、政府が謝罪の気配すらみせなかったことが女性たちの憤慨を巻き起こしたと指摘している。

心身に害も

米政府系放送局ラジオ自由アジアに対し、米国に拠点を置く中国の女性団体の代表者は「全く恥知らず。女性に対する扱いが人間以下のようだ」と、中国政府を厳しく批判した。

IUDについては、長年にわたる装着で多くの女性が心身を害されているとの報告もある。装着したものの出産年齢を超えた女性については、無料取り外しの対象ともされていない。

環球時報によると、25年にわたって装着していた67歳の女性は子宮に深く食い込んでいたため、取り外しでは激しい痛みと大量の出血を伴ったという。

63歳の女性はニューヨーヨーク・タイムズ紙に、装着によって将来起こりうる問題について何ら聞かされなかったという。この女性は「政府の目からすれば女性は出産要員。子供が必要なときは必要だが、不要なときはいらないんです」と辛辣(しんらつ)にコメントした。

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