「バブル終了?」

画像の説明 リオデジャネイロ五輪で112年ぶりに五輪競技復活を果たしたゴルフだが、国内市場は縮小の一途。その厳しい現状を象徴するのが、2012年の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」開始以降に広がったゴルフ場のメガソーラー化だ。

メガソーラーとは出力1000キロワット以上の大規模太陽光発電所。制度開始当初に電力販売事業に参入する企業が急増し、用地としてゴルフ場がターゲットになった。

ゴルフ業界専門誌「ゴルフ特信」(一季出版)が11年以降に報じたゴルフ場用地のメガソーラー化件数は、約150(コース内の一部や、計画段階も含む)。特に目立つのが栃木県、茨城県、群馬県などの北関東エリアだ。

長年閉鎖状態だった群馬県のゴルフ場跡地に、2012年に建設されたソフトバンク榛東ソーラーパーク 

ゴルフ場会員権取引業者である椿ゴルフの赤瀬三栄社長は、「メガソーラー事業参入を検討する会社から『つぶれそうなゴルフ場はないか』と、毎日数十件の問い合わせがあった」と振り返る。

売電価格が30円/キロワット時以上だった12~14年ごろは、「ゴルフ場として売却した場合の約10倍の値が付くケースもあったと聞く」(「ゴルフ特信」担当者)というから、おいしい話だった。

「あのとき売っておけば…」

しかし、売電価格は年々下がり続け、太陽光発電関連の倒産も相次ぐ中、ゴルフ場を買い求める太陽光発電関連会社は激減している。

「ソーラーバブル期に高値で売却し、会員の預託金を清算できたゴルフ場が勝ち組。周辺では『あのとき売っておけば』という後悔の声もある」と北関東にあるゴルフ場の支配人は明かす。

今年11月末で閉鎖し、メガソーラー化する栃木県宇都宮市のケントスゴルフクラブは「売却額は約10億円。相場の約2倍と聞いている」と同クラブの新井博氏。確かに活況期ほどの値段ではない。

新井氏は「働き盛りのゴルファーが減少し、この辺りのゴルフ場は土日の売り上げが右肩下がり。うちも今は黒字経営だが、数年後は赤字に転じる見込みだ。この値段で売れるうちにという、上の判断は致し方ない」と嘆く。

北関東のゴルフ場は、熾烈な価格競争で平日3000円昼食付きなど、破格のプレー代が当たり前。「健全な経営には8000~9000円のプレー代が最低ライン」(新井氏)で価格競争はつぶし合いに他ならないが、売却先が見つからなければ、引くに引けない。

15年の『レジャー白書』によれば、ゴルフ人口は14年までの10年間で約30%減。団塊世代が後期高齢者となる数年後には、さらなるゴルファーの大量減少が予想される。

石川遼らスター選手も、若者のゴルフ離れに歯止めをかけることはできなかった。

いまや「車が必須で丸1日つぶれる」という既存の姿から脱却し、時代に合ったスタイルの確立が急務。抜本改革なしに業界の未来はない。

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