「打つ手なし」

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北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行い朝鮮半島情勢が緊迫するなか、韓国では「北の潜水艦の脅威に対抗しなければ」と、官民双方から軍拡論が沸騰している。

ところが肝心の韓国軍は“腰砕け”だ。対潜水艦装備が壊滅状態にあることを露呈し、米国も愛想を尽かしつつある。

対潜ヘリは舶来の一流品から欠陥品に転落

北朝鮮による8月24日のSLBM発射を機に、韓国では「北朝鮮の潜水艦を探知、破壊できる能力を持たなければ」との主張がマスコミなどで広がった。そんななか、深刻な事故が9月26日に発生した。

韓国海軍によると、26日午後9時5分ごろ、韓国東部江原道沖の日本海上で韓国海軍の対潜ヘリコプター「リンクス」(英国製)1機が墜落、乗員3人が死亡した。

米韓合同訓練に参加するなかでの事故だったが、事故原因を調査する過程で、ただの事故とは言い切れない問題が浮上した。韓国紙の中央日報(電子版)によると、この「リンクス」ヘリの修理部品として、粗悪な国産不良品が納入、使用されていたというのだ。

同紙によると、不正納入は野党「共に民主党」の議員が防衛事業庁の内部監査資料を入手して判明した。「リンクス」ヘリについては、整備用に納品されたボルトの品質保証書類が偽造されていた。つまり評価試験の数値を偽造し、要求性能を満たさない安価な粗悪品を納入していたことがわかったのだ。

驚くべきはこれが氷山の一角だったことだ。過去4年間に600件の「品質保証書」が偽造されていたことが判明。うち71の部品で欠陥が見つかったという。

具体的には「リンクス」ヘリのほか、駆逐艦「広開土大王」(3200トン)のプロペラ速度調節部品、さらには韓国唯一の大型揚陸艦「独島」の発電機フィルターなどが欠陥品と判明した。いずれも重要部品で、韓国で「核心部品」と表現されるものだ。

独島艦は実際、2015年に発電機が故障発火して動力を喪失、漂流するという失態を演じている。

パクリ品の運命

修理や整備で交換した部品がニセモノという事態は、韓国軍では珍しくない。大統領府を守る機関砲の砲身が偽造品で、低品質のため射撃中に破裂したり、主力戦闘機KF-16のスペアパーツを用意せず「新品に交換しました」との書類だけを偽造したりと、ニセモノにまつわる不祥事には事欠かない。

ともあれ、北朝鮮の潜水艦に対する「第一の矢」のリンクスは、せっかくの英国製にもかかわらず、安くあげた韓国産パクリ品のために信用度ゼロに。一方で韓国が自主開発したヘリにも9月23日、欠陥がもちあがった。

中央日報などによると、開発に1兆3000億ウォン(約1210億円)を投じた韓国製ヘリ「スリオン」の軍への納入が突然中止された。

輸出へ向けて性能試験のため米国ミシガン州で低温テストをしたところ、エンジンの空気取り入れ口付近に氷が張り付き、そのまま飛べばエンジンのブレードに氷がぶつかってエンジン本体が破損する危険性が明らかになったのだ。

同紙によると、設計、製造した韓国航空宇宙産業(KAI)では「韓国の冬は格段寒いわけでもなく乾燥している」として、韓国内での飛行に問題はないと説明したという。

2018年に江原道平昌で冬期オリンピックを開催する国の気象状況説明としてはにわかに信じがたいものだ。

スリオンは着氷問題のほか、今年5月には機体のフレームやウインドシールド(前の窓)に原因不明の亀裂が生じる欠陥が露呈。窓には透明のシールを張って補強しているという。

ヘリがダメなら飛行機が…

対潜ヘリがだめでも、対潜哨戒機がある-はずなのだが、韓国では対戦哨戒機こそ「ガン」になっている。韓国軍は対戦哨戒機P-3Cオライオン(米国製)を16機運用しているが、いずれも老朽化。代わりに2018年から米海軍で用廃となり保管されている中古機「S-3B」27機を導入する方針とされるが、韓国世論やネットユーザーの間では、新鋭の米国製ポセイドン対戦哨戒機の購入や韓国による自主開発の声も出ている。しかし、これを世界と比べると絶望的だ。

日本ではP-3Cをライセンス生産しており、最盛期には約100機を運用していた。太平洋と大西洋に展開する米海軍の運用数は約200機だ。日本の「対潜」への力の入れようは別格としても、韓国の全20機は、韓国軍の整備力と稼働率を考慮すれば、24時間哨戒を実施できるエリアなど微々たるものだ。性能云々以前に「数」のレベルで話にならない。

弾道弾探知レーダーは湿気に敗北

結局、北朝鮮のSLBMを阻止するには、発射後に撃ち落とすのが最も有望な方策となる。韓国紙の朝鮮日報(電子版)は、「北朝鮮の弾道ミサイルを終末段階で迎撃するシステムとして、弾道弾早期警報レーダー『グリーンパイン』などがある」と指摘する。

グリーンパインはイスラエル製で、弾道弾迎撃ミサイルの探知誘導システムとして開発された。同紙によると探知距離750キロで、現在2カ所で運用しており、北のSLBM発射を受けて「グリーンパインの追加導入の必要性が提起された」と強調した。しかし、こんな韓国民の希望を打ち砕くニュースを3日、中央日報(電子版)が報じた。

国会の国防委員会に所属する議員が入手したグリーンパインの運用状況報告書によると、2基のグリーンパインは過去3年間に21回故障し、最大で42時間も監視網が無力になっていた。総計の故障時間は472時間で、故障の理由は「水滴のため」。レーダーアンテナの稼働時に発生する熱により機器内部に結露が生じ、電子回路が故障したというのだ。さらに酷いことに、「軍はアンテナ周辺にエアコンなどを設置したが効果はなかった」という。
 
サイバー戦でも
かつて米軍はイランの核兵器開発を阻止するため、コンピューターウイルス「スティックスネット」をイランの核開発施設に侵入させ、その開発を頓挫させたとされる。最新スマートフォンを次々と開発する能力のある韓国なら、北朝鮮の核施設や潜水艦基地に監視ウイルスを侵入させることも可能に思えるが、実際は逆だった。

朝鮮日報(電子版)によると、外部とは遮断された韓国軍のサイバー司令部のコンピューターがウイルスに感染したことが判明した。感染したのは陸海空軍の約2万台のコンピューターのセキュリティーを管理する「ワクチン中継サーバー」。どうやら、2万台のパソコンにワクチンの仮面をかぶったウイルスを侵入させ放題な状態となっていたようだ。こんな“IT弱者”ぶりでは、北へのサイバー攻撃など不可能だ。

夢と現実

この間も韓国のインターネットメディアでは「原子力潜水艦6隻を米国からリースする案を軍と米国が協議している」などという真偽不明の噂や「米国の協力を得て原子力潜水艦を国産すれば、北の潜水艦を封じ込められる」との夢プランが飛び交った。

最後はアメリカ頼みという、歴史的な「事大主義」の傾向が伺えるが、肝心の米国は、英国製やイスラエル製といったシステムリンクの面倒な「米国産以外の兵器」をまばらに装備し、粗悪コピー部品で自ら軍全体の稼働率を下げる韓国軍に愛想を尽かし始めている。その一例が、韓国空軍の主力戦闘攻撃機F-15Kで浮き彫りとなった。

韓国の衛星利用測位システム(GPS)は、北朝鮮の攪乱電波で妨害され使えなくなる事態が度々発生しており、有事にGPS誘導爆弾が使えない危険性がある。米軍はこうした攪乱電波を無効化する妨害装置を戦闘機などに搭載しており、韓国軍も主力戦闘攻撃機F-15Kにこの妨害装置を搭載しようとした。ところが9月までに米国から待ったがかかったのだ。

装置を製造するボーイング社は、分解禁止のブラックボックスとして完成品を購入するよう提案したが、韓国は国産したいとして電子回路図の提供を求めた。かつてF-15Kのセンサー機器を分解して違法コピーしようとした疑惑のある韓国が、今度は堂々と「パクらせろ」というわけだ。

万一、機器の構造などの情報が敵に漏れれば対抗措置を取られ、米軍が危機に陥ることとなる。軍のイントラネットをウイルスに乗っ取られる韓国に、米国が最新軍事技術を披露するわけがない。原潜や弾頭弾迎撃技術はいわずもがなだ。

2015年、中国の戦勝記念式典に朴槿恵大統領が参加し「レッドチーム」(演習時に敵を示す言葉)と指摘された韓国を見る米国の視線は、ますます厳しくなりそうだ

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