「土壌汚染」

画像の説明 東京都の小池百合子知事は10日に記者会見し、築地市場(中央区)からの移転を延期した豊洲市場(江東区)の土壌汚染対策で、本来実施されるはずだった主な建物下での盛り土が行われていなかったと発表した。盛り土は専門家会議の提言によるものだが、都は独断で工法変更して公表していなかった。

小池知事は安全性を再調査する方針を示し「予断を持たずに考えたい」と移転の再延期や中止の検討も示唆した。

豊洲市場(約40万7000平方メートル)は土壌から基準値の約4万3000倍のベンゼンが検出された。都は対策として地表から深さ2メートルの土を除いた上で高さ4・5メートルの盛り土をし、その上に建物を建てたと説明してきた。

実際は、水産卸売場棟(床面積約5万4000平方メートル)▽水産仲卸売場棟(同約3万5000平方メートル)▽青果棟(同約3万5000平方メートル)−−など主な建物の下は盛り土がされず、床下が空洞になっていた。水産卸売場棟の床下には、地下から染み出たとみられる水がたまっていた。

都は2007〜08年、専門家会議に土壌汚染対策の検討を求め、盛り土の提言を受けた。しかし、その後に配管や電線などを地下に敷設する必要性が判明、都の判断で盛り土を中止した。都は代替措置として床を厚さ35〜45センチのコンクリート製にし、数メートル四方のコンクリート製の柱を計数百本使って建物を支えることを決めた。

都によると、土壌汚染対策法で有害物質が入らないようにするには厚さ10センチ以上のコンクリート製の床を用いればよく、安全性や耐震性に問題はないと判断したという。都は変更を専門家会議に伝えずホームページや広報資料に提言通り盛り土をすると載せ続けた。

地下の空洞は市場の業者に伝えなかった。都の担当者は「訂正しないのは配慮が至らなかった。業者には『地下に配管などを敷設する』と説明しており理解していると考えてしまった」と弁明した。

外部からの指摘があったとして小池知事は急きょ会見した。都が工法変更を専門家会議に諮らなかった点について「行政的に一番大きな問題」と指摘、事実と異なる説明を続けていたことを「都政の信頼回復に逆行する」と厳しく批判した。

その上で、専門家会議を再招集して安全性の判断を再び仰ぎ、都政改革本部内の市場問題プロジェクトチーム(PT、座長・小島敏郎青山学院大教授)で問題を精査する方針を示した。土壌対策に関わった職員から都とPTが聞き取りをする。

小池知事は土壌汚染対策費858億円の妥当性にも疑問が生じるとし「膨らみ過ぎたので変な努力をしたのか調べたい」と述べた。

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