「なるほど!!!」

画像の説明 「全て合算すると、1000億円」。マイナス金利政策は、今期の銀行決算にどれほど影響を与えるのか。そう問われた三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の平野信行社長は、減益要因を積み上げてそう答えた。

マイナス金利政策や世界経済の成長鈍化を受けて、「従来のビジネスモデルを変えなければならない」と語る、三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長

要因は大きく三つ。1点目は、貸出金と預金の金利差である利ざやの低下で、減益影響額の予想は約350億円だ。貸出金利が低下する一方、預金金利はマイナスにできない。その結果、利ざやが縮小してしまうというわけだ。

2点目は、運用商品の販売手数料の低下で、同約300億円。「利回りの低下によって、運用商品に対する個人の取り組みが慎重になっている」(平野社長)という。

3点目は、デリバティブ(金融派生商品)販売減による収益の低下で、同約350億円。「金利がマイナスの領域に入ると、約定(売買成立)自体が難しくなる」(同)。

規模や事業構成の違いによる影響額の差こそあれ、マイナス金利政策の影響はどの銀行も同様だ。地方銀行も含めた多くの銀行が、今期は減益だと予想している。

みずほFGの佐藤康博社長も、「今後3年は右肩上がりが期待できない」という見通しを語った。

目指すはカジノの“胴元”

収益の伸びが見込みにくい状況下で、メガバンクはこぞって資産効率向上に取り組んでいる。その一つが、取引先に融資した貸出金を金融商品に加工して、地銀や投資家に販売するビジネスだ。この4月、三井住友銀行が60人規模で新設した「ディストリビューション営業部」の狙いもこれだ。

その意味するところは、カジノに例えると分かりやすい。

銀行は融資の際に貸し倒れリスクに応じた資本を積まなくてはならない。カジノで場にチップを積むイメージだ。ただ、そのチップは他の場では使えないので資金が寝てしまう。これが資産効率向上のボトルネックになっている。

そこでメガバンクは、チップを積むプレーヤーから、チップを配る“胴元”への転身を図っている。

自らのチップを地銀や投資家へ転売しているのだ。すると、チップの代わりに販売手数料が手に入り、その資金を使って新たな融資や投資ができるようになる。さらに、融資の貸し倒れリスクともおさらばできるとあって一石二鳥だ。

これはチップを買う側にとっても「大きなメリットがある」(第二地銀幹部)。

メガバンクが売るのは国内と比べてリスクもリターンも高い海外案件が多い。いわば、地銀では難しくて手が出せないゲームのチップだ。マイナス金利政策の影響で資金運用難に陥っている地銀は、「メガバンクのお墨付き」という安心材料を担保にリターンを狙えるというわけだ。

マイナス金利の世界の住人となった銀行は、あらゆる手段を使って減益影響をはね返す必要に迫られている。

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