「失礼・・・・・」

画像の説明 イギリスのエリザベス女王の発言が世界で話題になっているようです。

5月10日、バッキンガム宮殿で女王の生誕90歳を祝う園遊会で、中国の習主席夫妻の警備を監督したロンドン警視庁の女性警視長、ルーシー・ドルシ氏を紹介された女王は、「まあ、お気の毒。運が悪かったわね」と話しかけました。

随員が女王に「中国側に非常に業務を妨げられた」と説明し、ドルシ氏が「あのときはかなりの試練でした」と答えました。

また、女王は中国駐在のバーバラ・ウッドワード英国大使に対して「とても非礼だった」と発言し、ドルシ氏も「非礼で配慮に欠けていたと思います」と答えました。

このやり取りは"偶然"、録音・撮影されたとしていますけれども、たとえ録音が偶然であったとしても、女王の発言の中身までは"偶然"ではどうにもなりません。

しかも半年前のことですからね。いくら当時の警備をしていた人と会ったのだとしても、わざわざ非礼発言をする理由にはなりませんし、紹介直後の第一声が中国の警備担当をして「御気の毒」なのですからね。

わざと聞こえるように意図的に発言したとしか思えません。

この発言について、タイムズ紙は11日付の記事で「訪英した中国の一行は、同行した多数の警備スタッフに護衛用銃器の携帯と訪英中の反習近平政権デモ取り締まりを求めたが、英警備当局はいずれも拒否した」と報じています。

イギリスでは、アメリカ大統領を除き随行スタッフに武器の携帯を許可しておらず、外国の反体制派によるデモも取り締まっていないのですけれども、それを無視して、要求を受け入れなければ、「訪問を打ち切る」と脅迫したそうです。

日本からみれば、あぁいつもの中国ですね、というところですけれども、イギリスはこうした"生の中国"に接して吃驚したかもしれませんね。

BBC放送のピーター・ハント王室担当編集委員は「『英中黄金時代』幕開けとの政府見解の舞台裏は、発言のおかげで実際はかなり厳しいことになっていたことが分かった」と述べ、王室に詳しいジャーナリストのリチャード・フィッツウィリアムズ氏は「王室は政治の上位にあり、女王の無防御なコメントが流出するのは最初で最後」と指摘していて、米英関係を重視する女王が、中国に前のめりなキャメロン政権を諫める狙いで発言したのではないかとの見方も出ているようです。

あるいはそうかもしれません。

ただ、それ以上に大きいのは、なんといっても、エリザベス女王自ら「中国は非礼だった」と述べたことです。

このニュースは忽ち世界中に広がりました。女王の発言ですからね。無理もありません。

あまりの波紋の大きさに慌てたのか5月12日、「環球時報」が社説で「中国が世界で影響力を持っているから、事件として騒ぎ立てられる……西側メディアの中にいるゴシップ好きは、野蛮人の下品さを今も持ち続けている……中国5000年の歴史に絶えず接触すれば、彼らも進歩するだろうと信じている」と皮肉るのが精一杯で、女王を直接批判することは出来ませんでした。

流石にそれをやってしまうと不味いいうのは分かっているのでしょう。

ただ、中国が世界で影響力を持っているから云々という辺り、はちきれんばかりの大国意識を感じます。

これについて、脳科学者の茂木健一郎氏は「中国が経済発展し、大国意識が出てくる中で、どうしても、「傲慢さ」が表れてきてしまうのだと思う。

ところが、英国という、歴史と文化の積み重ねがある国でそれをやってしまうと、儀礼的にはかなりまずいことになってしまう。中国の価値観として、しばしば、「面子」(メンツ)を大事にする、ということが言われるが、そのことと、英国流の儀礼は少し違う。

英国流の儀礼は、相手のことに対する繊細な思いやりであり、面子はむしろ、時に不寛容や硬直につながる」と指摘しています。

キャメロン政権が金のために中国に尻尾を振るのは自由ですけれども、今回のエリザベス女王の発言で、世界は中国をそのような国であると見られるようになるかと思います。

オバマ大統領の訪問といい、何やら大きな転換点に差し掛かってきているような気さえしてきますね。

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