「日本が要請」

画像の説明 慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話の作成時、駐日韓国大使館で歴史問題を担当していた趙世暎(チョセヨン)元韓国外務省東北アジア局長(現・東西大特任教授)が16日までに、ソウル市内で産経新聞のインタビューに答えた。

趙氏は河野談話に関わる日韓間のすり合わせについて、日本側から「内々に相談に乗ってほしい」と要請があったことを証言。また、8月4日の談話発表直前には日本側から「こういう表現だがどうだろうか」と案文の提示があったことも明かした。

河野談話作成過程における日韓間のすり合わせに関し、韓国側の当事者が証言したのは初めて。日本政府は今年2月、談話作成時の事務方トップだった石原信雄元官房副長官がすり合わせの存在を示唆するまで、韓国との事前協議の事実を否定していた。

趙氏によると当時、韓国政府は日本側が出すという慰安婦問題に関する談話について「核心は強制性であり、強制性(の認定)は必要」としながらも、調査結果の中身は「具体的には日本側が自らの判断で発表すべきだ」との立場だった。

韓国外務省からは「日本側と談話の案文の交渉はしない」との文書による指示もあったという。

ところが、趙氏が立ち会った場で日本政府高官から「日本側で決めてほしいという気持ちは分かる。後ですり合わせをしていたことが明らかになれば、世論から批判される恐れがあると心配するのも分かるが、内々に相談に乗ってほしい」と要請があった。

趙氏はこの高官の名前は明かさなかったが、「後から韓国に責任転嫁するつもりはない」とも述べたといい、趙氏は「韓国が相談に乗ったきっかけは、日本の要請だ」と指摘する。

こうした経緯から、特に河野談話発表直前にはすり合わせが活発化。趙氏の記憶では、日本側が談話の案文を提示し、韓国側から「談話には『総じて本人たちの意思に反して行われた』と『総じて』とある。こうした表現ならば大丈夫ではないか」などの意思表明をしたという。

河野談話 平成5年8月、宮沢喜一内閣の河野洋平官房長官が元慰安婦に心からのおわびと反省の気持ちを表明した談話。

閣議決定はしていない。政府が非公開としてきた韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査を根拠に、「官憲等が直接これに加担したこともあった」「募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」などと強制性を認定した。 

コメント


認証コード8805

コメントは管理者の承認後に表示されます。