「ゴマすり」

画像の説明 5日に開幕した中国全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の冒頭、李克強首相は政府活動報告で「政治意識、大局意識、核心意識、一致意識を強める」よう求めた。

「核心意識」とは習近平共産党総書記(国家主席)が「党中央の核心」、「一致意識」とは「習氏にならえ」という意味だ。

習氏への「個人崇拝」が進み、批判的な異論は封じ込められる。今年は、多くの市民が命を失った文化大革命が始まって50年の節目。改革派知識人は「文化大革命の悲劇を忘れてはいけない」と懸念を強めている。

◇政治学者の自殺

2月19日夜、40歳の政治学者が首つり自殺した。上海・華東師範大学の江緒林氏。自殺直前、直筆の遺書を接写し、自身の中国版ツイッター「微博」で発信した。「こわい。少し白酒(アルコール度数が強い中国の蒸留酒)が飲みたい」と最後に書いた。

江氏はその6日前の13日も「絶望に対し、自身が魂を失ったことを知った。ただ体だけが存在している」と書き込んだ。北京大学大学院生時代の2000年、民主化運動が弾圧された天安門事件を追悼して連行されたこともあった。江氏の自殺を知った改革派の元大学研究者は「中国の知識人が受ける圧力と孤独を表している」と語った。

◇父親が目指した法律

「『異論保護法』制定に関する提案」。

北京理工大学の胡星斗教授は2月13日、インターネット上でこう題した文章を発表した。

習主席の父親で、文革などの中で毛沢東から政治迫害を受けた習仲勲元副首相は、約8年も独房生活を送った。名誉回復されて全人代常務副委員長になった1980年代、「異論保護法」の制定を検討した。

その事実を詳細に報じた改革志向の中国月刊誌「炎黄春秋」(13年12月号)によると、習仲勲氏は当時、「今後、また毛主席のような強人が出現したらどうするのか」と懸念。「党の歴史から見て異論によってもたらされた災禍はとても大きい」と述べ、異論を唱えても保護する法制の必要性を訴えたという。

胡教授は取材に「文革をピークに非常に多くの人が一言で命を落とした。真実を話すことは許されず、暴力手段で人を黙らせた」と話した上で、「現在の中国の言論環境はひどいが、息子の習主席が父親の感じた使命を実現してほしい」と望んだ。 

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