「いつパンク?」

画像の説明 上海では不動産が熱狂的に買われており、新たなバブル形成の兆しが見える。

このため2012年以降の中国の経済成長に打撃を与えた不動産市況の暴落が、また繰り返されるのではないかとの懸念が広がっている。

中国不動産情報集団(CRIC)の調査によると、2月の上海の住宅価格は前月比で3.6%上昇した。1月の前年同月比が17.5%の上昇と、中国全体の7倍もの伸びを記録した後で、さらに値上がりした形だ。

不動産市況の回復は、昨年夏までの上昇分の大半が帳消しになった株式市場に投資家が信頼を失ったことと軌を一にしている。

上海で購入した投資用集合住宅物件の所有権登録に並んでいたある男性は「(不動産)市場は再び狂乱状態になっているようだ。なぜだか分からないが、買うべき適切な時期なのだろう」と話した。

中国の不動産価格は05年から11年にかけて大きく上昇した。資金借り入れがいつでも利用できたことや、都市部への人口流入、世界金融危機を受けた政府の景気テコ入れ策などが背景にあった。

不動産開発業者が新規建設に多額の資金を投じたほか、他業種の企業までが不動産事業に乗り出した結果、国内総生産(GDP)に占める住宅投資の割合は、政府が市況過熱抑制へ方針転換するまでの10年間で3倍に拡大した。

そしてバブルが破裂した後には、中国全土で売れ残り物件が山積みとなり、建設資材の供給企業までも大きく打ちのめされた。

これを受け、中国政府は1年半ほど前から不動産セクターへの締め付けを緩め、利下げや住宅ローンの頭金に関する規制緩和、不動産取引課税の軽減などを実施している。

<狙いと裏腹>

政府の対策の狙いは大都市でなく、途中で放棄された開発物件が点在してバブル破裂の痛手が生々しい中小都市の不動産市場への支援だった。

ところが新規住宅投資のほとんどを占めるのは大都市部で、こうした動きにエコノミストは警鐘を鳴らしている。

スタンダード・チャータードの中国エコノミスト、ラン・シェン氏は「一級(都市)の住宅価格があまりにも急速に値上がりしているのは間違いない」と話す。

中小都市の市場を支えたい政府の意図とは裏腹に、投機筋は自らの論理に従って大都市で投資を行っている。不動産仲介のセンタラインで東部地域の最高経営責任者(CEO)を務めるクレメント・リュック氏は「(投機筋にとって)一級都市の方がより高度な環境が整っている。需要が多い一方、供給は制約されてるので、投資家は値上がり余地があると考えている」と説明した。

その上でリュック氏は、深センの不動産の動きが上海の前触れになったと指摘。「深センの住宅価格は昨年50─60%上昇した一方、上海の上昇率は20%にとどまったため、これからは上海がもっと上がる番だとみなされている」と述べた。

香港で不動産開発を手掛ける瑞安房地産(0272.HK)は先月、上海北東地域で売り出した新たな集合住宅は即日完売した。平均価格は1平方フィート当たり1140ドル前後で、最も広い物件は1800平方フィートで価格は220万ドルを超えた。5月に販売予定の物件は「価格が上がるのは確実」という。

世茂房地産(0813.HK)の幹部によると、同社が昨年10月に販売を開始した上海の中心からやや離れた場所の物件は、平均価格が1平方メートル当たり4万1000元。今月と来月に販売予定の新規物件は値上げを予定しているという。

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