2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「無駄」
日本に暮らす私たちの日常には、食べものがあふれています。
スーパーやコンビニ、商店街などに行けば、常にお弁当やお惣菜を始め、食べものがないということがありません。飲食店も数え切れないほどあり、東京に限っては24時間いつだって食べものを手にすることができますよね。
しかし、これだけ食べものがあふれているのに、私たちは食べきれていません。それどころか、相当の量が廃棄されてしまっている現状です。
そんな食品廃棄問題はいま、日本だけではなく、世界中で問題になっています。日本と世界の食品廃棄問題どのようなものなのでしょうか?
■日本はアメリカより食品が廃棄されている
まず、日本の食品廃棄がどれくらい深刻なのか、アメリカとくらべてみましょう。
日本とアメリカの食品廃棄量や金額を、農林水産省と国際連合食糧農業機関のデータをもとに比較してみました。
[アメリカ](約3億1,500万人):3,300万トン、13兆円
[日本](約1億2,000万人):1,940万トン、11兆円
人口に対し、廃棄量も金額もほとんど差がないことがわかります。つまり、割合でいうと日本の方が食品廃棄率は高いということ。
日本では、年間5,800万トンもの食糧を輸入しています。しかし、その半分が廃棄されているのです。発展途上国での1,000万トンの食糧は、約5,000万人分と考えられています。
これは、かなりショッキングな数字だと思いませんか? 私たちの食べきれなかった食べものがあれば、発展途上国に住む大勢の子どもたちを救えるのです。
■先進国の食品廃棄は「商業関連」が多い!
それでは、他の国の食品廃棄事情はどうなのか?
国際連合食糧農業機関の世界の年間一人あたりの食品廃棄量を見てみると、先進国であるほど廃棄量は多く、生産過程や商業でのロスが多いことがわかります。
[ラテンアメリカ]:280kg(うち、生産過程・商業からは190kg、消費者からは90kg)
[北米・オセアニア]:295kg(商業185kg、消費者110kg)
[先進アジア]:240kg(商業160kg、消費者80kg)
[サハラ以南のアフリカ諸国]:160kg(商業155kg、消費者5kg)
[北アフリカ、東・中央アジア]:215kg(商業180kg、消費者35kg)
[南・東南アジア]:125kg(商業110kg、消費者15kg)
[ヨーロッパ]:280kg(商業190kg、消費者90kg)
この中で日本は、先進アジアに含まれます。日本単体では1,940万トンの廃棄量のうち、1,000万トンが家庭など消費者によるものです。私たちの食品廃棄に関する意識がまだまだ低いことがわかります。
■大量の食品が廃棄されてしまう5つの理由
まだまだ食べられるのに、なぜこのように大量の食品が廃棄されてしまうのでしょうか。
飢餓問題の解決に取り組む非営利団体であるハンガー・フリー・ワールドは、以下のような理由を挙げています。
(1)新商品販売や規格変更や、キャンペーン商品の売り出しなど、新たな商品配置のために店頭から食品が撤去されてしまう。
(2)在庫として抱えているうちに販売できなくなってしまったもの。
(3)製造過程で発生する印刷ミスなどの規格外品を、食べられるのに廃棄してしまう。
(4)飲食店での食べ残し、客に提供できなかった仕込み済みの食材。
(5)家庭での、使いきれずに期限切れとなってしまった食材や食べ残し。
どれも、心当たりのあるものばかりだと思いませんか?
つい数十年前まで、日本はそこまで豊かな国ではありませんでした。豊かになったからといって、毎日食べ物を大量に捨ててしまうことには心が痛みます。
いまこそ、この現実に目を向けて、ひとりひとりが意識を変えて無駄を減らすことが大切なのです。
対策としては、やはり「買いすぎない」「使い切る」ということが大前提でしょう。
余った食材や料理をアレンジして別の料理に変身させるレシピも、インターネットでたくさん見つけることができます。
「賞味期限」と、「消費期限」の違いをきちんと理解し、容易に食べものを捨てないよう心がけましょう。「賞味期限」は、味の保証がされている期間であり、過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。
いままでは意識していなかったとしても、「食べものを国家レベルで粗末にしてしまっている」ということを知ることで、できることからはじめていきたいものです。