「危険な賭け」

画像の説明 「卵を全部一つのかごに入れるな」という投資の格言がある。

損失のリスクを度外視したまま、高収益の幻想を追いかけてすべての投資金を注ぎ込む、初心者の少額投資家に対する警告だ。

外交にも適切な外交資源の配分が大切だ。低収益・低リスクの投資群に属していた米国に、一方的に“オールイン”していた時代は終わった。政治、経済、軍事的に中国が高収益・高リスク投資先として浮上した。

精巧な投資戦略が求められる。軍事大国化に進む安倍政権は、リスクは高いが、収益はあまり出ない、低収益・高リスク投資先に変わった。損失を最小限に抑えるアプローチを取らなければならない。

このような複雑な投資環境に囲まれている朝鮮半島の状況を考えると、特定の国にのみ、あるいは特定の国との関係で一つの問題だけに“オールイン外交”を行うのは危険極まりないことだ。いくら初心者の大統領でもその程度の常識はわきまえておくべきだ。

なのに、朴槿恵(パククネ)政権の外交はいまだオールイン外交から抜け出せずにいる。対日外交では軍慰安婦問題に“オールイン”した。交渉の出口に置くべき目標を、全ての韓日関係改善の先決条件として掲げた。

その結果、安倍政権の奇襲で結ばれた「12・28合意」後、加害者は態度が大きくなり、被害者はかえって縮こまる不思議な姿が演出されている。

対中国外交に目を向けると、昨年9月に朴槿恵大統領が中国戦勝節記念式典に出席したことは、典型的なオールイン外交だった。外交的な立地を極端に狭めかねない危険なカードだったからだ。

朴槿恵政権は戦勝節記念式典への出席について、高リスクは隠したまま高収益のみを広報した。「最高の韓中関係」、「速やかな平和統一のために両国が緊密に協議することに合意」として、大当たりでも出たように自慢した。

北朝鮮の4回目の核実験以降、朴槿恵政権が対中外交で収めた高収益は、結局“誇大広告”だったことが明らかになった。理由は簡単だ。朴槿恵政権と中国の平和統一は、当初から異なる概念だったからだ。

朴槿恵政権は「平和統一」のカテゴリーに北朝鮮の崩壊も含まれると信じている。“戦争”さえなければ、広い意味で平和統一なのだ。

しかし、中国の立場からすると“北朝鮮の崩壊”による吸収統一は、平和統一ではない。南北協力と交流に伴う自然かつ段階的な統一だけが「平和統一」になる。互いの契約条件が合わないにもかかわらず、朴槿恵政権は契約が成立したと錯覚したか、国民をごまかしていたのだ。

今、朴槿恵政権は対中国圧力に向かって再びオールインしながら、急旋回している。中国が韓中関係の“レッドライン(超えてはいけない一線)”としている「THAAD(高高度防衛ミサイル)配備の検討」発言や、中国とロシアの反対により、実現可能性がない「北朝鮮を除いた5カ国協議」などを、創意的な解決策だとして掲げている。

オールイン外交の結末は外交的孤立だ。中国は、対米戦線で韓国を中和しようとする努力が失敗したと判断したら、北朝鮮とより緊密な関係を結ぼうとするだろう。日本との関係改善を急ぐ可能性も高い。

バラク・オバマ政権も、今は北朝鮮核問題をめぐり中国に青筋を立てているように見えるかもしれないが、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議が出ると、米中関係の管理へと方向を転換するだろう。

オバマ大統領の任期が1年も残っていない時点で、北朝鮮の核問題をめぐり、中国と死活をかけて戦う必要がないからだ。さらに、オバマ大統領の最大の業績だと掲げてきた3月末のワシントン核安保サミットの成功的な開催がより重要であるため、中国と対立するのは負担になる。

威勢よく中国との勝負を宣言し、旗を掲げていざ出陣したのに、ある瞬間、振り返ると、北東アジアで一人になった韓国を見ることになるだろう。

だからこそ、オールイン外交は危険な賭けなのだ。

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