「生ぬるいアホ」

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国連安全保障理事会で10日、北朝鮮の人権侵害を討議する会合が開かれた。

昨年12月にこの問題が初めて安保理の公式議題となって以降、2度目。北朝鮮の人権侵害を強く懸念する今月の議長国・米国の肝いりで実現した。

これを受け、年内にも予定されていた潘基文事務総長の北朝鮮訪問計画は宙に浮く形になった。次期韓国大統領選への出馬が取り沙汰され、訪朝がそのまま潘氏の“得点”になるのでは?との指摘がある中、「なまぬるい安易な訪朝を許さず、人権問題などで北朝鮮に強い圧力をかけるよう米国が潘氏にクギを刺した」(国連関係者)との見方が出ている。

会合開催の是非をめぐっては、人権問題に消極的な中国が安保理理事国に投票を要求した。9カ国以上の賛成がなければ公式議題にはならないからだ。

しかし、常任理事国が持つ拒否権は、決議案の投票など「実質事項」については行使できるが、議題決定など「手続き事項」については行使できない。

採決の結果、米国や英国、フランスなど9カ国が賛成し、中国、ロシア、ベネズエラ、アンゴラの4カ国が反対した。9カ国以上が賛成したことで北の人権問題が安保理で取り上げられることになった。

米国のパワー国連大使は「(北朝鮮による)広範で組織的な人権侵害は国際の平和と安全への脅威」と批判。英国のウィルソン国連次席大使も「(北朝鮮の)状況は世界最悪だ」と述べ、事態を早急に改善するよう北朝鮮側に迫った。

一方、自国内で複雑な人権問題を抱える中国とロシアは、安保理は人権問題を扱う機関ではないと主張。中国の王民国連次席大使は「特定国への干渉」は許されるべきではないとし、関係国の対話を通じて朝鮮半島の平和を実現すべきだと訴えた。

会合では、フェルトマン事務次長が「今年は国連創設70周年だ」とし、加盟国の北朝鮮で依然、重大な人権の蹂躙(じゅうりん)が存在することを強く批判。日本の吉川元偉国連大使も、拉致被害者の早期帰国実現を訴えた。

安保理外交筋によれば、11月の議長国・英国が会合を模索したが、パリ同時多発テロで立ち消えになった。しかし、未開催のまま越年した場合、この問題に対する「国際社会の本気度が問われかねない」(国連外交筋)ため、12月の議長国である米国が主導したという。

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