「平和」

画像の説明 国際社会でなにが起きているか

憲法9条により日本の平和が守られたと主張する人たちがいるが、それは「夢見る夢子ちゃん」の空想的な平和主義。戦後の冷戦時代は米ソの抑止が効いていたから安定していた。そして、日本の安全保障議論では実戦の話が欠けている。

過去200年、300年の期間で見ると、大きなパワーシフトが4回起きている。パックスブリタニカに始まり、日本やアメリカ、ロシアの台頭。そしてアメリカ、ロシアが残り、ソ連が崩壊してアメリカの独り勝ちが10年続いた。今、なにが起きているかというと、中国という新たなチャレンジャーが出てきて大きな流れが起きている。この動きをどう分析するかが重要となる。

欧州情勢の変化と中国の台頭

パワーというものは目に見えないが、急になくなるとその存在に気付く。たとえば、部屋の空気が急になくなれば、窓を破って外の空気が入ってくる。国際情勢も同じで、どこかのパワーがなくなれば周辺勢力がそこを埋めに来る。

ソ連崩壊によって北大西洋条約機構(NATO)が勢力を広げた。これは、冷戦時代に封印されていたロシアの「危険な猛獣」を抑えるヨーロッパの戦略。ところが、ロシアがクリミアを取りにいったことで、戦略は失敗に終わり、アメリカの欧州戦略も変わってしまった。

アメリカのアジア重視政策は、欧州が平和で中東の戦争が終わったから成り立っていた。欧州が平和でなくなった今、どうやってアジアを重視できるのか。

一方、中国は13億人を食わせ、富を維持するために海上輸送ルートが不可欠だが、それに立ちはだかるのが日米同盟だ。

中国の人口ボーナスは終わり、高齢化が進んでいて、あと10年もすれば社会が大きく変わってしまう。だから、それまでに勢力を拡大しなければならない。そのために、東シナ海も南シナ海も中国のものだと宣言して人工島を作ったりしている。

これに対し、日本は現状のシーレーン(海上交通路)をなんとしても守らなければならない。

日本が取るべき戦略

日本の戦略を考える上で、同じ島国の大英帝国の戦略が参考になる。第1に「大陸に巨大な覇権国家が生じないように介入する」、第2に「大陸と健全な距離を置くこと」だ。

秀吉の朝鮮出兵や日韓併合に、いいことはなかった。重要なのは、利益を同じくする海洋国家と協力していくこと。かつては日英同盟でイギリス海軍を使いシーレーンを維持し、民主主義を導入した。そして、日米同盟により、中国、朝鮮半島のバランスを維持し、自由貿易で栄えた。

ところが、アメリカは中東や欧州諸国で問題を抱えていて、アジアまで手が回るかわからない。そのため、オーストラリアやインドネシアなどの海洋国家との協力を深めていかないといけない。そのためにできたのが、安全保障関連法案だ。

これを戦争法案なんて呼ぶ人がいるが、とんでもない。20年以上前から日本にはずっと、この法案が必要だった。

中国は今、かつての日本のようにアメリカの支配にチャレンジしようとしている。中国は絶対に失敗する。

しかし、それが何十年後かはわからない。日本は自国の現状を維持しようとする勢力とともに、現状を変えようとする中国のような勢力に立ち向かわなければならない。

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