「無責任」

画像の説明 若者を「反安倍」に駆り立てた野党議員の責任は重い 「法案は負けたけど勝負には勝った!」って恥ずかしくないの?

安全保障関連法案反対のデモの拠点となっていた国会正門前。成立後、物々しさはすっかり消えた

安全保障関連法案の国会審議が佳境を迎えた9月中旬、東京・永田町の国会周辺では連日、反対派がデモを行い、「安倍はやめろ」とシュプレヒコールをあげていた。その群衆の中心には、学生団体「SEALDs(シールズ)」のメンバーらの姿もあった。民主、共産、社民各党などの議員も連日姿を見せ、「戦争法案反対」と訴えて反安倍晋三政権をあおった。それは若者たちを政局に利用しているようにも映った。

「これだけ多くの若い人たちの声に応えられなかったことを心から申し訳なく思う。でも、皆さんの声に私たちは背中を押され、安倍首相の暴走に対峙してきたということだけは、お訴えしたいと思います!」

安保法が参院本会議で可決・成立したのは9月19日午前2時過ぎ。その十数分後、議場から国会正門前のデモに駆けつけた民主党の蓮舫代表代行はそう訴えた。

シールズを中心とする数百人のデモ参加者からの拍手を受け、蓮舫氏は「国会は未来あるあなたたちのためにある」と言葉を詰まらせた。

反対派の野党がシンボル的な存在として持ち上げたシールズ。参院本会議での採決があった9月18日夜から19日未明にかけては国会前に陣取り、インターネット中継を見ながら「戦争法案、絶対廃案」「野党は牛歩!」「野党がんばれ!」などとシュプレヒコールを挙げた。「民主主義って何だ。これ(集会)だ!」ともコールした。議長が法案可決を宣言すると、「採決撤回」「安倍はやめろ」と連呼した。

安保法成立後、蓮舫氏の他にも3人の参院議員が駆けつけた。

採決前に反対討論を行った民主党の福山哲郎幹事長代理は、感謝の言葉を述べた。

「みんな、負けてごめんな。でもさっき国会で叫んできたよ。『法案(の採決)には負けたけど勝負には勝った』って。それはみんなが支えてくれたから! これからも一緒に戦ってください」

社民党の福島瑞穂副党首は「本当に悔しい。みんなに『国会で野党結束して頑張るぞ』というエネルギーをもらいに、またここに来ました」と述べた。若者らのデモは反対派のパワースポットだったようだ。

安保法案採決の際、議場をゆっくり歩き議事進行を遅らせる「牛歩」を単独で行った生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎氏は、大きな拍手と「太郎」コールを浴びながら、こう叫んだ。

「(与党に)押し切られるという状況の中、『何とか頑張ろう』と勇気をくれたのは皆さんだった。これからもみんなで力を合わせていきましょう」

この後、シールズのメンバーが「(山本氏以外の議員にも)牛歩、やってほしかった。でも(視聴者に与える)印象とかも含めて、次のことを考えてやらなかったと思う。それなら次の試合(選挙)に勝つしかないでしょう。選挙にいこうよ」とあいさつし、反対派野党にエールを送った。

安保法案の審議中、民主、共産、社民などの野党が「戦争法案」「徴兵制につながる」とレッテル貼りをし、国民の間に漠然とした不安が広がった。そんな中、一部のマスコミはシールズをはじめとする若者たちのデモを「若者たちがついに立ち上がった」というトーンで伝えた。

朝日新聞は9月21日付朝刊で「安保法案反対の動きは、政治に無関心といわれた多くの若者を巻き込み、大きなうねりとなった」と書き、「『SEALDs』をはじめとする学生たちの運動が、なぜここまで大きなうねりになったのか。そのカギは、彼らがごくふつうの若者だということだ。(中略)法が成立しても、若者たちが開いた地平は日常の中に続いていく」という識者のコメントを掲載した。

日本の若者たちは本当に、反安保法、反安倍政権に立ち上がったのか。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が9月19、20両日に実施した合同世論調査では、国会周辺などで行われた反対集会やデモについて、男女ともに若年層ほど共感しない傾向が強かった。20代は男性74・6%、女性61・7%が「共感しない」と答え、各年代でもっとも高い数字だった。全体でも「共感しない」が50・2%と過半数で、「共感する」の43・1%を上回った。

連日のようにデモを開催したメンバーの行動力には脱帽するし、同世代の政治への関心を高めるのに寄与したのは間違いない。しかし、「日本の若者たちが立ち上がった」という見方は少々強引だ。

デモ参加者は山本太郎氏を持ち上げるなど「世論」とは明らかにズレている部分も多かった。大学3年のシールズ幹部について、同級生は「学校内で東アジア共同体の実現を本気で訴えている。理想主義的で変わった人という印象だ」と語る。

安倍首相は9月20日に放送された日本テレビ番組で、デモ隊への感想を問われ、「日本は言論の自由を保障している。当然、国民の一つの声であろうと思う」と述べた。

また、安倍首相は25日の記者会見では「戦争法案といったレッテル貼りを行うことは根拠のない不安をあおろうとするもので、全く無責任である」と批判した。無責任に若者らをあおった野党の責任は重い。

安保法が成立してから国会前デモは勢いを失った。学生らの姿を見ることはほぼなくなった。

28日夜。10日前はデモ参加者であふれていた国会正門前は閑散としていた。中高年を中心に20人ほどが「戦争反対」「peace」のプラカードを手に所在なげにしている。

時折、国会に向かって「税金泥棒!」「こんちくしょう!」と叫んでいた。デモ参加者が車道に出ないよう設置されていたバリケードや警察官の姿もなく、物々しさは完全に消えていた。

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