「同じことを繰り返すな」

画像の説明 マンション価格高騰で狂乱再燃?

そこから計算される平均坪単価(3.3平方メートルあたり)は600万円以上。相場より4割ほど高いのではないかと思われる設定だ。この価格を見て「バブル再燃」の言葉が出てきた。

ブリリアタワーズ目黒の外観完成予想図。再開発エリア内で、白とベージュの外壁の2棟がマンションになる

実際、目黒だけでなく、都心マンションは軒並み価格が上昇。「再燃」の言葉が出ても不思議はない。だが私は「再燃」はあり得ない、と見ている。

というのも、長く続いたデフレ時代に育った20代、30代が、多少金回りがよくなったからといって、タクシーを止めるために1万円札を振るように浮かれるだろうかと考えるからだ。

5000円札も無理。かといって1000円札ではおこがましい。そういえば2000円札があった。1万円札を2000円札に両替する人が増えるような現象は起きるかもしれない。

2000円札でも、一度使い始めたら財布から出て行く金額はやがてふえてゆく。結局、バブル状態になってしまうのだが、道筋が異なる。つまり「バブルは再燃しない、変化して起きる」。だから、人間は性懲りもなく失敗を繰り返してしまう。ブリリアタワーズ目黒は、「バブルが変化して起きる」ことの最初の例ではないだろうか。

バブルは形を変え、再び起きる

ブリリアタワーズ目黒の2棟のうち、サウスレジデンスと名付けられた棟の居住者用ラウンジ

その予定価格は、明らかに高い。しかし、マンションが完工する予定の2017年12月にはどうなっているか。

東京五輪が開かれる約2年半前で、オリンピック景気によって都心マンションの価格は跳ね上がっている可能性がある。その時期に完成し、「完成してから1年後までに売りきればよい」と考えれば、おのずと価格設定の方向性が変わってくる。「現時点の相場価格で売り出す必要はない」という方向性だ。

あえて価格設定を高くして、ゆっくり売っていく。その結果、販売は長期化する。それを見て「売れ残っている」という見方が出てくるだろう。しかし「売れ残っている」のではなく、あえて「売り残している」。そのような「売り残しマンション」が今後都心部で増えてくると私は予想している。

70平方メートル台住戸モデルルームのリビングダイニング部分。天井埋め込み式エアコンが標準設置される

前回のバブル期は、景気が上がっても安い価格のマンションが売られ、購入者が殺到。そのため、抽選倍率100倍、200倍となるケースがざらにあった。安い価格のマンションはあっという間に売り切れ、不動産会社は次のマンション用地を仕入れようとした。その土地はすでに高騰していたが、不動産会社は仕事を維持するため、手を出さざるを得なかった。

その結果、新築マンションも高騰した。この値上がりの連鎖でバブルは崩壊した。前回の失敗を繰り返さないため、「オーバーヒートさせずにじっくり売ってゆこう」という意味で、ブリリアタワーズ目黒の予定価格は“適正価格”と評価できる。

2020年東京オリンピックに向けて渦巻く思惑

東京五輪を見越し、今、都心部では土地の売り物が減っている。出ても高い値段が付けられている。「次に売る都心物件の目鼻が付かない」のであれば、長期の販売計画を立て、その間の販管費・人件費を捻出できる価格設定にしておくのは理にかなっている。

ただ、これまでの相場からかけ離れた予定価格であるため、ブリリアタワーズ目黒では一時的に客足が遠のくのではないか。そう思っていたのだが、これがそうでもないようだ。

購入検討者の話では、見学予約が非常に取りにくいという。「みんなあきらめない。だったら、私も引かない」とその検討者は話していた。購入者も、前回のバブルの反省を胸に行動している。これも「変化して起きる」ことの一面だろう。

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