「自然界」

画像の説明 地球では過去5億年の間に、恐竜など生物種の大量絶滅期が5度到来したが、現在は6度目の大量絶滅期を迎え、人類を含む全ての種が危機にさらされている-。

こんな衝撃的な研究論文が11日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。人類の活動による自然環境の破壊が進む現在の地球の状況は、過去の大量絶滅の原因となった気候の激変と類似していると分析。「生物は急激に変化する状況への適応が間に合わず、絶滅する」とし、種の頂点に立つ人類も例外ではないと警鐘を鳴らしている。

直近は6600万年前

「自然環境における大規模かつ急速な混乱は間違いなく人類にネガティブな影響を与える」。論文の主筆者である英リーズ大学のアレキサンダー・ダンヒル教授はこう指摘し、地球温暖化に象徴される気候変動に危機感をあらわにした。

米科学系ニュースサイト、サイエンス・デイリーやAFP通信などによると、最初の大量絶滅期は、約4億4400万年前のオルドビス紀末に訪れ、三葉虫やサンゴ類など全生物種の85%が絶滅。2度目は約3億7400万年前のデボン紀後期で、海洋生物を中心に全生物の82%が滅んだ。3度目が約2億5100万年前のペルム紀末で、絶滅率は90%に達した。

4度目は約2億年前の三畳紀末で、絶滅率は80%。そして、直近の絶滅期は約6600万年前の白亜紀末に起きた。1億5000万年の間、地球に君臨した恐竜が滅んだもので、小惑星の衝突が原因とされる。絶滅率は70%で比較的短期間に進行した。

ダンヒル教授らは、例外的な5度目ではなく4度目の大量絶滅期に注目。三畳紀末からジュラ紀にかけて陸上に生息していたとされる恐竜を含む脊椎動物の化石の記録を詳細に調べた。

この時の大量絶滅は、大陸的規模の火山の噴火が原因とされているが、噴火当初は火山に近い場所の生物が大きな影響を受け、地理的な優位性が認められた。しかし、やがて地理的な差異はなくなり、遠く離れた場所に生息する生物も含め最終的には約80%の種が絶滅したことが分かったという。

噴火でCO2など大量放出

噴火によって二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが大量に放出され、現在の地球と類似した温暖化が進行したことが原因としている。

こうしたことから、大量絶滅期には、量的に他を圧倒し最も影響力を持つ「優占種」であっても、特定の場所に生息する弱小種と同じように、環境変化の影響を大きく受けると、結論づけた。

その上で、ダンヒル教授は「われわれは人類の活動によって4度目の大量絶滅期と同じ状況を猛スピードで作り出している」と指摘。「世界の人口のほとんどは依然、食料や水、エネルギーを得るために自然界に大きく依存している」として、種の頂点に立つ人類も環境変化の影響を免れないと強調した。

「現在迎えている生物多様性の危機は人類の活動の結果である可能性が高い。自然環境の破壊や自然からの搾取が、新たな大量絶滅の主な原因になっている」

ダンヒル教授は、人類自らが絶滅の危機を招いていると警告した。恐竜たちとは違い、その行動を改められるのが人類の救いでもある。

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