コマツ“仰天”新機軸、建設現場に無人ヘリ!

画像の説明 目指すは超ハイテクな現場、人手不足に対応
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渋谷ヒカリエホールの中をドローン(無人ヘリ)が飛び回った
 小型のドローン(無人ヘリ)が会場内を飛び回り、ステージの中央にふわりと降り立つと、小さなどよめきが起こった。これが建設機械メーカー、コマツのこれからを担う“最新兵器”なのだ。

1月20日、コマツは渋谷ヒカリエホールで新規事業説明会を開催し、2月1日からサービスを開始する「スマートコンストラクション」の内容を明らかにした。GPSやセンサーなどのICTを駆使し、建設施工現場の工期短縮、コスト削減、安全性向上などを図るもので、コマツが従来手掛けている「ICT(施工自動化)建機」と、新開発のクラウドプラットフォーム「KomConnect(コムコネクト)」の情報蓄積・解析を組み合わせ、サービスを提供していく。

コマツといえば、GPSを用いて車両の稼働・保守管理などを自動で行うシステム「KOMTRAX(コムトラックス)」を2001年から全建機に標準装備し、他社製品との差別化を図ってきた。その後も、2008年に無人ダンプトラック運行システムを世界で初めて商用化するなど、実機の販売やレンタルにとどまらない施策を数多く打ってきた。

今回発表したコムコネクトもこうした動きの一つであり、また、これまでコマツが培ってきた技術の集大成と言える。

「コムトラックスの登場で、まず社内が変わった。それから無人ダンプ運行システムが出たが、これはマイニング(鉱山の現場)に限られたものだから効果は限定的。それが今度のものは、一般建機の現場にも広く使える。(コマツにとって)コムトラックス以来の大きなものを出せたと思う。うちらしくもなく、派手にお披露目させていただいた」(コマツの大橋徹二社長兼CEO)。

今回の新システムは、工事開始前から終了まで、建設現場のあらゆる作業行程で活用される。たとえば冒頭のドローンが活躍するのは、建設現場の現況を把握するための測量を行うときだ。

工事現場の作業は、まず施工前の現場の状況を把握するところから始まる。通常は現場作業員が2名以上で行う作業を、コマツのスマートコンストラクションではドローンに搭載されたカメラ、3Dレーザースキャナーなどを用いて自動で行う。人の手で数カ月かかるような作業でも10~15分で行えるうえ、精度も上がるという。

また顧客の設計図面は、コマツの側で3次元データ化。これを無人測量で出来上がった現場の現況データと組み合わせ、さらに希望の工期や人員数、これまで蓄積してきた別現場での施工データも加味し、最も効率のいい手順を割り出す。

そしてこの手順をICTブルドーザー、ICT油圧ショベルなどに読み込ませ、実際の作業を進めていく。これらの建機は多くの部分が自動化されているため、熟練作業者でなくても扱いが簡単た。

ほかにも、工事開始後に計画に狂いが出てもすぐに修正できるよう、スマホやタブレット端末で毎日施工状況を把握できるシステムなども用意している。作業の無人化や遠隔地からの工程管理が進展すれば、災害後には危険が残る地区の迅速な復旧に役立てられそうだ。

コマツの当座の目標は、スマートコンストラクションのサービスをバネにICT機の市場導入数を1500台にまで高めることだ(現在は約300台)。関連の売上高も「早期に100億円を達成したい」(大橋社長)という。まずは工事現場の作業者不足が深刻化する国内に的を絞り、グループ内のレンタル会社、コマツレンタルを通じて展開。その後は海外市場への導入も見据える。

事業者にとってのメリットはどれほどあるのか。スマートコンストラクション推進本部の四家千佳史(しけ・ちかし)本部長は、「現場での作業効率が4~5倍は上がる。だからといって価格が一般建機の5倍になるということはない。削減できたコストの部分を、お客様とコマツで享受したい」と話す。

「工事が始まる前から終わるまで、工程のすべての中で、建設現場で稼働する機械だけでなく、人や土までもをICTでつなぐ」(四家本部長)。今後も面白い機能が追加されていくのかもしれない。

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