2015年度当初予算案の大枠

画像の説明 予算、最大の96兆円台 税収54.5兆円 15年度大枠

政府は2015年度当初予算案の大枠を固めた。予算総額は過去最大の14年度(95・9兆円)を上回り、96兆円台半ばに達する。税収は54・5兆円と、過去の決算と比べると23年ぶりの高水準を見込む。高齢化で年金や医療などにかかるお金はふくらむが、企業業績の改善などで税収増が見込まれるため、新たな借金は減る見通しだ。

■3.1兆円補正案、閣議決定

当初予算案の歳出の3割超を占める社会保障費は、初めて30兆円を突破した14年度からさらに増え、31兆円台に達する。公共事業費は約6兆円、防衛費は約5兆円で、いずれも当初では安倍政権になって3年連続の増額だ。地方自治体に渡す地方交付税交付金等は14年度の16・1兆円から15兆円台に減らすが、地方税収が伸びており、自治体で使えるお金の総額は増える。

国債(借金)の残高は増えているが、その返済に充てる国債費は金利の低下で利払い費が抑えられるため、微増の23兆円台半ばとなる。

税収は、15年10月に予定していた消費税率10%への引き上げは延期したが、企業業績の改善や株高による法人税や所得税の税収増を見込み、14年度当初から4・5兆円増とする。新たな借金として発行する国債は14年度当初の41・3兆円から4兆円ほど減らす。

国・地方の政策予算を税収などでまかなえるかどうかをみる「基礎的財政収支」の赤字の国内総生産(GDP)に対する割合を、10年度から15年度にかけて半減させる政府の当面の財政再建目標は達成できる見通しになった。当初予算案は、閣僚間の話し合いによる最終調整などを経て14日に閣議決定し、2月に通常国会に提出する。

一方、9日には、景気対策を盛り込んだ総額3兆1180億円の14年度補正予算案を閣議決定した。景気を良くするための「緊急経済対策」には、商品券や旅行券など、消費てこ入れのために自治体が自由に使える交付金や、中小企業や農林漁業者への支援などを入れた。使い残す見込みになった予算は減額する。

歳入は、当初の想定を上回る税収(1兆7250億円)や13年度予算の使い残し(2兆353億円)などでまかなう。14年度に予定していた新たな借金は、7571億円減らす。

■中間貯蔵施設、地元に2500億円

福島県内の除染で出た廃棄物を30年近く保管する中間貯蔵施設の地元向けの対策費2500億円が、2014年度の補正予算案に盛り込まれた。

うち1500億円は「施設の直接的な影響」を和らげる目的で、立地予定の大熊、双葉両町と県に交付される。汚染土などを安全に運び入れるための道路整備や、輸送路の周辺に住む人たちの健康対策などに使うことができる。

1千億円は、施設の建設で避難者の帰還が遅れたり、風評被害で農産物などが売れなくなったりすることを防ぐ狙いで、県に交付される。自治体は対策費を基金にため、約30年にわたり使える。

政府は15年度の当初予算案で、発電所のある自治体に交付する「電源立地地域対策交付金」をつけ、福島県に今後30年にわたり年17億円ずつ増額させる方針。合計すると、中間貯蔵施設の対策費は総額3010億円になる。

■福島第二の避難、国賠償は690億円

文部科学省は9日、東日本大震災で東京電力福島第二原発の周辺に出された避難指示に伴う原子力損害賠償法に定められた賠償の国負担額が690億円になった、と発表した。2014年度補正予算案に計上した。

福島第二原発の周辺では、震災直後から11年4月までは10キロ圏内に、同年12月までは8キロ圏内に避難指示が出ていた。この指示で避難した住民に東電が賠償を支払っている。

この賠償について東電は昨年10月、国負担額の上限である1200億円を政府に請求した。だが、請求には福島第一原発の避難指示に伴う賠償金の国負担分と一部重複があると判断して、690億円と算出したという。

■エボラ対策など、外務省は1905億円

外務省の2014年度補正予算案は総額1905億円で、西アフリカで流行するエボラ出血熱対策やイスラム過激派「イスラム国」対策などを盛り込んだ。

アフリカのサハラ以南などの安定や難民支援といった緊急人道・復興支援として909億円、このうちエボラ対策に97億円を計上した。イスラム国の脅威にさらされているイラクやシリアなどを対象に、国内難民への支援などに320億円を盛り込んだ。

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