「幽霊船」

画像の説明 イタリア近海で「幽霊船」相次ぐ 乗組員なし、密航の新たな手口

イタリア南部沖で多数の移住希望者を乗せながら、操舵する乗組員がいない貨物船が見つかり、同国当局が2日、救助した。同様のケースは最近、周辺海域で続いて発生。“船頭”のいない「幽霊船」(伊メディア)は不法移民密航の新たな手口とされ、欧州で警戒が強まっている。

貨物船は1日午後、乗船者から「乗組員がいない」との無線通報を受けたイタリア当局が同国南部沖約150キロの海上で発見。救援隊が2日、燃料切れで漂流していた船にヘリコプターから乗り込んで制御し、同国南部コリリアーノ・カーラブロ港まで曳航(えいこう)した。

貨物船はトルコから出港したとされ、女性や子供を含む約450人が乗船。国籍は不明だが、内戦中のシリアから逃れてきたともみられる。操舵していた乗組員は途中で船を脱出した可能性が高いという。

伊当局は12月30日にも、同国南東部沖で、約800人の移住希望者を乗せながら乗組員がいない貨物船を救助した。この船には先にギリシャ当局が接触したが、異常はなく、航行を継続。乗組員はその後に船を去ったとみられる。航行を続けていれば、伊沿岸部に座礁の恐れもあった。

欧州では近年、地中海を越えてくる北アフリカや中東からの不法移民の増大が問題化し、密航業者が手引きしているといわれる。従来は漁船やゴムボートが主流だったが、今回使われたのは、ともに建造後40年以上の貨物船だった。

貨物船の場合、冬場でも大量輸送が可能で、古い船は安価で購入できるため、密航業者の利益も大きいとみられる。国連関係者はロイター通信に対し、貨物船を公海上まで航行させた後、針路を設定して密航業者らは逃げるのが手口だと語り、「古い貨物船の利用が増えてきている」と警告している。

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