2015年の中国は変われるか

画像の説明 習近平体制となって約2年が経過したが、中国は外部の人間が期待したほどには、開放や緩和、リバランスの兆しがほとんど見られない。

習近平体制となって約2年が経過したが、中国は外部の人間が期待したほどには、開放や緩和、リバランスの兆しがほとんど見られない。どうやら2015年も機会を逃す年になりそうだ。外国人投資家もそのことをようやく理解し始めている。

習近平国家主席が仕事をしていないということでは決してない。共産党元最高幹部の周永康氏を含む「腐った卵」の処罰を進めている。過剰生産やエネルギー消費量には新たな目標が課される。中国の国内総生産(GDP)伸び率が7%を下回ると話すことは、もはや当たり前のように見える。これは、中国共産党の指導者たちが過去20年間は決して認めなかったことだ。

しかし、習氏が約束した「市場の決定的な役割」は実現していない。金融商品はほとんどデフォルトしていない。香港と上海の株式市場は相互接続されたが、上海証券取引所での相互接続取引は時価総額全体のわずか2%に制限されている。

一方で、中国の外貨準備は習体制になってから6000億ドル増えており、当局が為替市場に持続的に介入している姿をうかがわせる。

外国の政治家や投資家や銀行は、そんな中国にいら立っている。2014年1─9月の海外から中国への直接投資は前年割れとなった。

ただ、習氏と同じ環境に置かれれば、多くの指導者は同じことをするだろう。政権に対する国民の支持は不安定だ。労働権利保護団体の中国労工通報によると、今年9月に発生したストの件数は、過去12カ月間の平均の2倍以上だったという。不動産市場の調整や金融不安の高まりは、中流層の景況感を脅かしている。

国内政治は難しさを増す一方だ。中国共産党の最高指導機関である中央政治局常務委員会は、メンバー7人のうち2017年には5人が定年を迎える。彼らの後継を目指す椅子取りゲームは間違いなく進んでいるはずだ。

習氏が手っ取り早く政治的支持を得る方法は、愛国心に訴えることだろう。それには、汚職捜査の対象を外資系金融機関にまで広げることが含まれるかもしれない。南シナ海での領有権をめぐって中国が主張を強めることもありそうだ。

これらはすべて、状況の改善を期待していた貿易相手国の緊張を高めるだろう。いつかは中国も変わるかもしれない。ただ当面は、中国指導部の意識は、世界に門戸を開くことより、既得権にしがみつくことに向き続けるとみた方がいいだろう。

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