「犯罪利益でも恩赦か」

画像の説明 「ルーブル下落の根本理由を考えろ」ロシア主要紙に酷評された「プーチン経済政策」

ロシアのプーチン大統領が12月4日の年次教書演説で表明した数々の経済政策に対し、主要紙が辛辣(しんらつ)な批判を浴びせている。原油価格や通貨の下落で経済が深刻な状況に陥りつつあるロシアだが、効果が不透明な政策の乱発に各紙がたまらず声を上げた格好だ。

「テロリストが稼いだ金をロシアに持ち帰ったとしても、彼を罪に問うこともできないのか?」。有力経済紙ベドモスチはプーチン氏が打ち出した新施策を酷評した。

これはプーチン氏が「流出した資本がロシアに戻る場合、完全な“恩赦”を与える」と述べたことに対する批判。ロシアでは今年、1000億ドル以上の資本流出が確実視されているが、プーチン氏は、流出した資本がロシアに戻る場合、それがどのような手段や方法で得られたのであったとしても、当局は関知しないとする資本の「恩赦」政策を打ち出した。

事実上、犯罪で得た金であっても、おとがめなしと打ち出したのに等しい。そのアイデアに対し、あまりにも節操がないとして、ベドモスチは批判したというわけだ。

また経済紙コメルサントは、ルーブル下落に対するプーチン氏の取り組みを批判するアナリストのコメントを掲載。

彼は「ルーブルの下落に対し、政府はどういうわけか投機筋がその原因だと考えて疑わない。それよりも、根本的な問題があるだろう」と指摘した。

プーチン氏はルーブルの下落に対し、その要因は海外の投機筋にあるとの考えを繰り返し表明。今回の年次教書でも、投機筋と戦う中央銀行を支援すると述べている。

それに対しこのアナリストは、ルーブルが下落する「根本的な要因」にもっと目を向けるべきだと指摘。詳細な説明は避けているものの、ルーブルの変動が激しいのは、原油頼みの経済政策など、ロシア経済そのものの不安定さがあると指摘されている。そこで彼は、“もっと、自分を省みたら”と批判したというわけだ。

また別の専門家は、4年間は増税を行わないとしたプーチン氏の提案に「正しいが、遅すぎる」とし、政府の怠慢を批判。さらに海外流出した資本の返還への「恩赦」については「誰が今ロシアに資本を戻すだろうか」と切って捨てた。

独立新聞は論説で、プーチン氏が3~4年以内に世界の平均的な経済成長率を上回ると述べた点に対し、「現在のロシアの状況を考慮するならば、これはあまりにも野心的に聞こえる」と、その実現性を疑問視。

そのうえで「しかし、大統領はこの厳しい状況をなんとか最小限にとどめたかったのだろう。通貨ルーブルの下落だけでも国民は明らかに心配している。ここでネガティブなシグナルを送れば、パニックを招きかねないことを、彼は理解しているのだ」と痛烈に皮肉った。

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