アラブの春4年、混迷拍車

画像の説明 リビアなど過激派台頭

「アラブの春」その後

シリアとイラクで伸長した過激派組織「イスラム国」が昨年6月に国家樹立を宣言して半年。米国や有志国の空爆が続く中、敵対者を斬首する恐怖支配は衰えない。リビアやエジプトでは民主化運動「アラブの春」後の混乱に乗じて「イスラム国」に共鳴する過激派が台頭し、地域の治安を脅かす。▼3面=リビア治安崩壊

2011年1月以降、中東・北アフリカ各国の強権政権が次々と崩壊。政権が代わったチュニジア、エジプト、リビア、イエメンの4カ国すべてで過激派の動きが活発になったが、中でもリビアの治安悪化が際立っている。シリアではアサド政権と反体制派の内戦が泥沼化して「イスラム国」が台頭した。

米軍は昨年12月、リビア東部に過激派戦闘員の訓練施設があると指摘した。チュニジアやエジプトからも戦闘員の予備軍が流入しているとみられる。ここからシリアへ送り込まれた若者が「イスラム国」に加わっている可能性がある。国連と欧米諸国も同月、リビアの現状に「重大な懸念」を表明した。

エジプト東部シナイ半島を拠点に軍や警察への攻撃を続ける過激派「エルサレムの信奉者」は11月、組織名を「イスラム国シナイ州」に変更すると発表。この前後から首都カイロの地下鉄や郊外の幹線道路で爆弾テロが相次ぎ、専門家は同組織が活動を都市部に広げようとしていると指摘する。

アルジェリアでは9月、「イスラム国」に同調する組織がフランス人を誘拐、殺害した。

英国を拠点とするNGO「シリア人権監視団」は12月28日、「イスラム国」が国家樹立を宣言して以降、1878人を「処刑」したとする集計を発表。うち1175人が女性や子どもを含む非戦闘員だった。さらに外国人の「イスラム国」戦闘員で出身国に戻ろうとした120人前後も殺されたという。

カダフィ政権が崩壊し、民主化過程で再度、内戦状態に突入したリビア。外国人ジャーナリストがほとんど入らない中、東部ベイダに朝日新聞記者が入った。市民は「国が崩壊した」と言った。

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