中国系企業がニカラグアに大運河 

画像の説明 2019年完成めざす 米国の中南米政策を刺激

中国系の香港企業が中米ニカラグアで太平洋と大西洋を結ぶ全長約278キロの運河建設に着手し、米国を刺激している。パナマ運河に対抗する船舶ルートで、2019年の完成をめざす。総事業費は約500億ドル(約6兆円)。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は27日、中国が運河で中南米への影響力を強める、との米報道を特に否定せずに紹介した。

同紙などによると、ニカラグア運河計画は太平洋側のリバスから東にニカラグア湖を経て大西洋(カリブ海)に至るルート。パナマ運河に比べて約3・5倍の距離があるが、水深が約28メートルと2倍あり、より大きな積載量40万トン級の船舶の航行が可能。リバスで27日までに着工式が行われた。

建設と運営を請け負ったのは香港ニカラグア運河開発投資(HKND)。北京に本社を置く中国の通信会社、信威通信産業集団の王靖会長が12年に香港に設立した企業で、建設費用はHKNDが中心となって調達する。運営権は完成後50年間で、さらに50年の延長が可能。その後ニカラグア政府に譲渡される契約だ。

パナマ運河と貨物船の航行を奪い合うライバルになるほか、中南米と中国を結ぶ貿易ルートにもなる。

ニカラグア政府はHKNDに、運河の両端の港湾や自由貿易区、リゾート開発などの権益も同時に与えている。関係者は、「運河の沿岸地域は中国系企業が管轄する、事実上100年間の租借地」とみている。

中国当局や中国海軍とHKNDとの関係は明らかにされていないが、海洋戦略の強化を狙って中南米の港湾拠点や航行ルートを確保したい中国側には、米国の影響下にあるパナマ運河に依存したくない思惑があった。ニカラグア運河経由なら中国の艦艇も大西洋側に容易に進出可能となる。

一方、ニカラグアは台湾と外交関係があり、中国とは国交がない。これを逆手に取った中国が、香港経由で民間プロジェクトとして進めたとみられ、米国などは表だって動けない。関係者は、「米国のキューバ急接近の背景には、中国の中南米の海洋進出への警戒感もある」と話している。

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