「元側近」人事介入疑惑で大揺れ

画像の説明 「朴槿恵・韓国」 目に余る綱紀の乱れ

7日、ソウルの大統領府で開かれた与党セヌリ党幹部らとの昼食会であいさつする朴槿恵大統領。元側近の人事介入疑惑に絡み、「チラシにでも出てくるような(疑わしい)話に国全体が揺さぶられるのは恥ずかしいことだ」などと語った

韓国の朴(パク)槿恵(クネ)大統領(62)の元側近、鄭(チョン)允会(ユンフェ)氏(59)らの人事介入疑惑の特ダネ(11月28日付)を報じた韓国紙、世界日報の社長らが名誉毀損(きそん)で告訴され、検察も本格的な捜査を始めた問題をめぐり、韓国内では朴槿恵政権に対する批判が高まっている。

「大統領はまだ問題の深刻さを理解していない」

保守系紙、朝鮮日報(電子版、11月29日)の社説は、「(鄭氏は)現政権で公式には何の職責も与えられていないが、それにもかかわらず大統領府秘書官らと定期的に会い、現職の秘書室長辞任の時期を勝手に決め、これに必要な事前の工作まで指示したというのだから、これはにわかに信じられない内容だ」としながらも、「現政権の綱紀の乱れが本当にここまで進んでいたとするなら、これは政権次元の話ではなく、国家の基盤をも揺るがす深刻な事態だ」と指摘した。

朝鮮日報は12月3日の社説でも、人事介入疑惑の調査に関わり、疑惑を韓国メディアなどに証言した韓国大統領府の元公職紀綱秘書官、趙(チョ)応天(ウンチョン)氏(52)を取り上げ、「大統領府は趙氏が指摘した3人組(朴大統領の最側近とされる秘書官3人)の越権疑惑と人事の問題について明確に説明し、問題があればそれを正さなければならない。ところが大統領府はこの問題から顔を背け、趙氏に対しては『外から一方的に主張するのではなく、検察の捜査に協力すべきだ』としている。これは誰が見ても責任逃れだ。大統領府はいまなおこの問題の深刻さについて理解できていないということだ」と批判している。

「権力暗闘で国民が被害」

主要紙、中央日報(電子版)は「なぜ権力暗闘で国民が被害を受けなければいけないのか」と題する4日の社説で、「朴槿恵大統領は疎通が不足した国政運営スタイルを見直し、内部の雰囲気を引き締めなければならない。特に側近の秘書官3人が権力を乱用したことが明らかになれば、容赦なく整理すべきだろう。3人は大統領の国会議員時代から近くにいた補佐陣だ。それだけに大統領を効率的に補佐することができる。しかし別の一方では権力の誘惑にさらされる危険も大きい。歴代政権でも最も近いところで事件が起きている。これを管理する責任は大統領にある。結局、今回の事態が収拾され、国政運営が正常化する道は、大統領の冷徹な状況認識と決断にかかっている」と、朴大統領に対し、適切なリーダーシップを発揮することを促している。

「予告された惨事」

保守系紙、東亜日報(電子版)は2日の社説で、「朴大統領は、国民の目線に合わせなかった相次ぐ人事の失敗やコミュニケーションの失敗が、秘密ラインの黒幕による専横説や権力内部の暗闘説などを拡大させたことに気付くべきだ」と、朴大統領の政治手腕を問題視した。

その上で、「側近や親族らの緩んだ綱紀が、『鄭允会文書』の下地になったといえるだろう。大統領の過酷なほどの徹底的な周辺管理こそ、秘密ラインの黒幕が国政を弄んだことへの国民の懸念を払拭させる根本的な処方だ」と主張した。

経済紙、毎日経済(電子版)のコラム「記者24時」は2日、「残念な点は、今回の議論が現在の大統領府のお粗末な人事・情報管理の実態を示しているのではないかという懸念である」とし、「実際、大統領府の事情に詳しい人々の間では、今回の事件を『予告された惨事』という人が少なくない。大統領府の過度の秘密主義と国民へのコミュニケーションの粗雑で不透明なことが今回の事態と無関係ではないという指摘である」と記している。「大統領府の参謀らの後手の対応と無能さで、ついに朴大統領が前面に出る状況となった」と非難した。

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