中国特需今は昔、中国に泣く韓国製造業

画像の説明2000年代に入り、中国は韓国製造業の脱出先であり、なおかつ最大の輸出先だった。

資金と人材も中国に押し寄せた。しかし、最近になって状況が一変した。中国の成長が鈍化し、対中輸出は減少している。先端技術を習得した中国メーカーが韓国企業を窮地に追い込むこともある。中国の人民元と観光客はソウルと済州島の路地裏にまであふれている。今回の企画では、完全に様変わりした中国が韓国に与える影響について点検し、対応策を模索したい。

9月26日午前10時ごろ、蔚山市南区のSK油化の工場前を訪れると、道路を通るトラックは全くなく、オフィスの照明も大部分が消えていた。ゴーストタウンを思わせるほど静寂に包まれていた。合成繊維の原料である高純度テレフタル酸(PTA)を生産しているSK油化は今年7月から工場の操業を全面中断した。同社のイム・グハ生産チーム長は「中国産の製品が市場にあふれ、商品の販路がない」と述べた。

蔚山石油化学団地は韓国の産業界でも有数の稼ぎ頭だった。1970-80年代には内需で、2000年代以降は対中輸出で巨額の収益を上げた。それが今では生き残りが危ぶまれる状況に追い込まれた。

理由はただ一つ。中国市場に過度に依存してきたからだ。韓国企業は生産した石油化学製品の約45%を中国市場に輸出した。中国が最大市場であり「援軍」でもあった。しかし、中国企業が同様の製品を量産し、状況が逆転した。一例として、昨年93%だった中国のPTA自給率は、今年は100%を超える見通しだ。韓国企業にとっては災難に等しい状況だ。

サムスン綜合化学、ロッテケミカル、SK油化、暁星などはPTAだけで2011年に37億ドル相当を中国に輸出したが、今年の輸出額は8億ドルを下回ることが確実視される。

2000年以降、韓国経済は中国発の特需で潤ってきた。中国の高度成長と共に対中輸出も急増した。しかし、最近は状況が逆転している。中国企業の製造能力が急成長し、生産能力が伸びたことから、中国が韓国の製造業の基盤を揺るがす「ブーメラン効果」を生んでいる。

韓国貿易協会のアン・ヒョンホ副会長は「最近1-2年、造船、重工業、鉄鋼、石油化学など伝統的な製造業分野の大企業が軒並み実績悪化と経営難に陥っている。その根底には中国製造業の台頭がある」と述べた。これまで右肩上がりだった対中輸出も今年に入り減少に転じた。今年1-8月の対中輸出は前年同期比1.5%減の885億ドルだった。

先端産業分野も状況は似ている。サムスン電子の中国モバイルマーケティングチームは今年1月、サムスングループの「誇らしいサムスン人賞」を受賞した。同賞の創設以来、チーム全体による受賞は初めてだ。サムスンのスマートフォンが世界市場で首位(シェアベース)に立つ上で、毎年売り上げを倍増させてきた同チームの活躍が目立ったことが受賞理由だった。しかし、わずか5カ月後、サムスン電子は業績低迷の責任を問う形で、同チームのトップを更迭した。

中国市場はサムスン電子にとって、「スマートフォンショック」の震源地へと一変した。中国ではサムスン製スマートフォンの販売台数が今年4-6月に70万台も減少し、中低価格の地場ブランドである小米(シャオミ)に首位の座を奪われ、2位に転落した。設立から4年もたたない中国企業との競争にさらされ、業績も急激に悪化した。中国サムスン関係者は「英雄が4カ月で悪者扱いされるようになった」と漏らした。中国製造業による衝撃波が急速に韓国企業に打撃を与えている格好だ。

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