拉致と衆院選

画像の説明 各党体温が低すぎないか

拉致問題とは北朝鮮という国家による誘拐事件である。日本の主権にかかわる重要課題であり、必ず被害者は救い出さなくてはならない。

衆院選に臨む各党は政権公約に「拉致問題の解決」を掲げてはいるが、主要政策から片隅に追いやられている印象だ。各党は選挙戦を通じて問題解決への道筋を論じ、その意気込みを語ってほしい。

北朝鮮は拉致被害者の再調査を約束したが、当初「夏の終わりから秋の初め」とされた初回報告は一方的に先延ばしにされたままだ。報告の約束履行に向けて今は正念場の時期にあるが、衆院選で交渉が停滞するようでは困る。

当時13歳だった横田めぐみさんが拉致されて37年となった11月15日、新潟市内で開かれた集会で、めぐみさんの弟、哲也さんは「拉致は現在進行形のテロだ」と述べて協力を訴えた。

毎年、この集会に出席していためぐみさんの両親は、川崎市の自宅から中継であいさつした。高齢のためだ。拉致被害者の親族は高齢化が進んでおり、再会の日に向けて時間の猶予はない。

だが各党の公約で、拉致問題に割かれた文字数は少ない。

自民党は「被害者全員を取り戻すためにあらゆる手段を尽くします」として「拉致問題に進展がない限り更なる制裁緩和は一切行わない」と具体策に触れたが、政策集の最終盤に位置する。

公明党は「政府の粘り強い交渉と厳格な対応を求める」などとした。民主党の公約には「主権と人権の重大な侵害である拉致問題の解決に全力をあげます」とのみあるが、自らの政権時代に進展がなかったことへの反省もない。

維新は、核・ミサイル問題と並列で「国際社会と連携して断固たる措置を実施する」と書き、次世代の党は政策実例に「全ての拉致被害者の早期救出」と掲げたが、具体策はなかった。

社民党は国交正常化交渉と、共産党は「植民地支配などの過去の清算」と並列に論じており、生活の党の公約には「拉致」の文字すらない。

拉致は本来、オールジャパンで解決すべき問題である。争点になりにくいのかもしれないが、各党、あまりにも体温が低い。解決へ向けて不可欠なのは圧倒的世論の後押しである。選挙戦も世論喚起の重責を担ってほしい。

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