「中国が見放す」?

画像の説明 「支持者失望させた」馬政権レームダック化避けられず、「中国が見放す」?

支持者を失望させたことに遺憾の意を表する」。台湾の統一地方選で与党、中国国民党が惨敗したのを受け、馬英九総統は29日夜、党本部で沈痛な面持ちで頭を下げた。馬政権のレームダック(死に体)化が進むことは確実で、躍進した野党、民主進歩党が2016年の総統選で政権を奪還する可能性が強まった。ただ、対中政策の見直しは進んでおらず、課題も残っている。

「陳以真への投票は馬英九への支持」

南部の嘉義市では選挙戦中、国民党の女性市長候補、陳以真氏(37)のポスターの隣に、こんな文章だけのポスターが張られた。広告の依頼主は民進党員。強まる馬政権への反感を計算した上での「ネガティブキャンペーン」だ。

国民党の首長選関係者は「今回の争点は馬英九批判」と言い切った。惨敗で馬総統の求心力低下は避けられず、馬氏が就任以来進めてきた中国との経済関係の強化は党内でも推進力を失う可能性が高い。国民党に近い研究者は「大敗で中国は馬政権を見放すだろう」と指摘する。

一方の民進党は、蔡英文主席が29日夜、「史上最もよい成績だ」と勝利宣言。蔡氏は次期総統選候補の地位を確実にした。県・市長選で地盤の南部を確保しただけでなく、中部や北部でも国民党からポストを奪ったからだ。

ただ、課題もある。当時も蔡氏が主席を務めていた民進党は、09年の統一地方選で躍進し、10年の5直轄市長選では総得票数で国民党を上回り、政権奪還への期待が高まった。しかし、12年の総統選で蔡氏は約80万票差で馬総統に大敗した。敗因の一つは、対中政策で「独立色」を払拭できず、経済界から不安視されたことだ。

半面、学生らによる今春の立法院(国会に相当)占拠で噴出した反中感情を考慮すると、安易に対中融和路線に転向することは難しい。台北市長選で当選した柯文哲氏は、「イデオロギー対立の解消」を掲げたことが評価されており、二大政党対決を強調する従来の手法に戻った場合、今回の選挙以上には支持が広がらない可能性もある。

政治大の童振源特任教授は「総統選は立法委員(国会議員)選と同日選になるが、民進党の立法委員は独立色が強い。対中政策の調整は困難な道のりになるだろう」と話している。

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中国国民党

辛亥革命の指導者、孫文が1894年に創設した「興中会」に起源を持つ。1919年に現在の呼称になった。国共内戦に敗れた49年から台湾に移り、蒋介石・経国の父子時代に一党独裁体制を敷いた。2000~08年の陳水扁総統(民主進歩党)時を除き、一貫して政権を握る。李登輝氏は総統退任後の01年に党籍剥奪。現在の馬英九総統は09年10月から党主席を兼務。

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