エアバス「A350」で大攻勢

画像の説明 「ボーイング王国」日本、勢力図激変か否か 

エアバス社の最新鋭旅客機「A350 XWB」の内覧会が行われ、機体や内部が報道陣に公開された=

ともに世界を代表する航空機メーカーの欧州エアバスと米ボーイングが日本市場でしのぎを削っている。民間航空機の世界シェアではほぼ互角だが、日本市場に限るとボーイングが8割超を握る一方、エアバスは1割台にとどまり大きく水をあけられてきた。だがエアバスが昨年10月、ボーイングと長年にわたり密接な関係にあった日本航空から大量受注を獲得。勢力図がどう変わるか注目される。

■突破口は日航「最大56機購入」

20日に開かれたエアバスの「A350」の内覧会。担当のマーケティング担当者は「A350は世界で、とりわけアジアではすばらしい成功を収めている」と強調した。現状の確定受注750機のうち、約3分の1にあたる244機は経済成長を背景に航空需要が拡大しているアジアの航空会社から獲得したものだ。

高額な民間航空機を米国から買うことが日米貿易摩擦を和らげてきた過去の経緯などもあり、日本市場はボーイングの独壇場だ。

そうした中、日航は国際線と国内線で現在の主力機種であるボーイングの大型機「777」の後継機種として、A350を最大56機購入すると決定。ボーイングへの依存度が特に高かった日航から初めて発注を受けたエアバスにとって「日本市場での突破口」(ファブリス・ブレジエ最高経営責任者)を開いた形だ。

■ANAの高級機はボーイング「死守」

だが、ボーイングも巻き返した。全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスが今年3月にボーイングとエアバスから最新鋭機を計70機“まとめ買い”したときに、高価格の中・大型機はすべてボーイングが受注して牙城を守った。

これらの商談では、エアバスとボーイングが値引きなどをちらつかせ、受注合戦を展開したとされる。

またエアバスは、今年8月にボーイングの777に決まった政府専用機の後継機種をめぐっても、当初は自社機材の提案を検討したことがあり、昨年の日航からの大量受注の余勢を駆って日本市場での存在感向上に余念がない。両社の攻防は激しさを増しそうだ。

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