追加金融緩和

画像の説明 日本銀行は31日の金融政策決定会合で、市場に流し込むお金を増やす追加金融緩和を決めた。

年金積立金の株式での運用比率を高める方針も決まった。安倍政権は今月中旬にも、円安対応などの新たな経済対策のとりまとめ作業に入る。政府・日銀が政策を総動員し、今春以降、低迷する景気にてこ入れする狙いだ。

日銀、追加金融緩和を決定
日経平均、今年最高値 日銀追加緩和受け大幅値上がり

日銀の追加緩和は、昨年4月に過去最大規模の金融緩和を決めて以来となる。追加緩和により、市場に流し込むお金の量をこれまでより10兆~20兆円増やし、年80兆円のペースで増えるようにする。

具体的には、長期国債の買い入れ額を年30兆円増やして年80兆円にし、金利低下を促す。株価指数に連動する上場投資信託(ETF)は年3兆円、上場不動産投資信託(J―REIT)は年900億円にそれぞれ3倍増する。これらが呼び水となり、株や不動産などへの投資が増えることを狙う。

黒田東彦(はるひこ)総裁は決定後の記者会見で、日銀が掲げる「2%」の物価上昇率目標の達成を確実にするためだと説明した。

4月の消費増税後の景気の低迷が長引き、物価上昇率も鈍っていることが判断の背景にある。31日発表の9月の家計調査(速報)では、2人以上の世帯が1カ月で使ったお金は前年同月より5・6%減り、6カ月連続で減った。さらに原油価格の下落が続いているため、同日発表された9月の消費者物価指数の上昇率は、消費増税の影響を除いた数値で前年比1・0%にとどまった。

ただ、政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)のうち4人は反対しており、議論が二分したことを示した。

約130兆円の公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は31日、運用資産の割合の基準を変えた。国内株式と外国株式で運用する比率をともに12%から25%、外国債券を11%から15%に上げた。国内債券は60%から35%に下げた。国債を減らし、リスクがあるがもうけも見込める資産を買って積立金を増やす狙いだ。ただ、株価が下がって老後に備えた年金の原資が目減りするおそれも出てくる。

安倍政権は、17日に発表される7~9月期の経済成長率を見極めたうえで、新たな経済対策をつくり、年内に編成する今年度補正予算案や来年度当初予算案に反映させる。

輸入価格を押し上げる円安への対策として、漁船の燃油購入を補助したり、トラック業界やハウス農家を支援したりする対策を盛り込む。来年10月に消費税率を予定通り10%に上げると判断した場合は、収入が少ない人への給付金など、再増税のショックを和らげる対策も講じる。

4月に消費税率を8%に上げた際には5・5兆円規模の経済対策を打ち出しており、再増税する場合の対策の規模は数兆円規模になる見通しだ。

31日の東京金融市場では、日銀の追加緩和や、株式市場に巨額の年金資金が流れ込むとの期待で、大幅な株高と円安が進んだ。日経平均株価の終値は前日比755円56銭(4・83%)高の1万6413円76銭で、今年最大の上げ幅となり、7年ぶりの高値をつけた。円相場は一時1ドル=111円台半ばと2008年1月以来の安値となった。

■政府、日本銀行などの景気てこ入れ策

【日本銀行の追加金融緩和】

・長期国債の買い入れを年30兆円増やし、年80兆円に

・株価連動の上場投資信託(ETF)買い入れを年3兆円に3倍増

・上場不動産投資信託(J―REIT)買い入れを年900億円に3倍増

【政府の経済対策】

・円安対応含む経済対策をとりまとめへ

【GPIFの年金運用見直し】

・公的年金積立金の株式運用比率を倍増し、全体の50%に

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