ほうき片手にクリーン・インド運動

画像の説明 「5年後、すべての学校と家庭にトイレを!」

2日、ニューデリーでほうきを手に「インドをきれいにしよう運動」をアピールするモディ首相

日本人のインドの印象としてよく、「汚い」というマイナスイメージが挙げられる。確かに町のあちこちにはゴミが散乱し、路上は公衆便所となり、牛や犬のふん尿を至る所でみかける。外食の際は、気をつけていても腹を壊すことがある。食材が傷んでいる場合もあれば、自分の手が汚れていることが原因ということもある。

こうした汚名を返上しようとモディ首相が始めたのが、「クリーン・インド(インドをきれいにしよう)運動」だ。独立の父、マハトマ・ガンジーの誕生日に当たる祝日の10月2日、モディ氏自らほうきを持ち、警察署でゴミ掃除をするパフォーマンスを繰り広げた。閣僚や官僚もこの日の清掃に加わった。インド政府はガンジー生誕150年を迎える5年後まで、自治体に予算を与え、町をきれいする運動を推進していくという。

モディ氏はこのほか、学校に男女別のトイレを整備することも推進している。12億人以上の国民の半分は家庭にトイレがないとされており、「5年後には、すべての学校と家庭にトイレを」と訴えているが、6200億ルピー(約1兆1千億円)の予算が必要という。

また、仏教とヒンズー教の聖地バラナシと京都の都市提携にも乗り出し、バラナシを流れ水質汚染の激しいガンジス川の浄化に日本の政府開発援助(ODA)が活用されることになる。

モディ氏はこの運動を単なる政策ではなく「愛国心に喚起されたものだ」と国民に訴えている。経済再生や汚職対策など大きな期待を背負って今年5月に誕生したモディ政権は、まだ大きな実績は残していないものの、こうしたわかりやすいイメージ戦略を打ち出すのはうまいようだ。

ただ、一部には痛烈な批判もある。12日付のインド紙ステーツマンに寄稿したロンドン在住の政治学者シマンティニ・クリシュマン氏は「カースト制度や差別に関連した根深い問題に立ち向かうまでは、こうした運動はメディアなどを越えて人々に重く響くことはないだろう」と皮肉を込めて論評した。

そのうえで、「カースト制度はよく、インドの多くの問題の根源になっている。公衆衛生の問題ももちろん、その一つだ」と指摘している。

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