寒冷地の機材にホバリング…

画像の説明 工夫を重ねて救助にあたる自衛隊

御嶽山の噴火災害で、自衛隊のヘリコプターが登山客や心肺停止者の救助や搬送にあたっている。

現場は急峻(きゅうしゅん)な斜面が多いことに加え、今月に入ってからは雨が続き、降り積もった火山灰がぬかるんでいる。15日には現場の山頂付近が初冠雪し、悪条件も重なる。自衛隊は寒冷地で使用するスキー板のような部品をヘリに取り付けるなど工夫を重ねながら、16日も引き続き、ヘリで活動を続ける。

防衛省によると、自衛隊は、15日時点で延べ281機のヘリを投入。スキー板のような部品は「雪ぞり」と呼ばれ、本来は南極などの寒冷地で離着陸する際に使用する部品だったが、今回は泥濘(でいねい)と化した山頂に着陸するため、ヘリに取り付けられることになった。

一方、噴火直後は機体を着陸させずホバリングさせた状態で遭難者を引き上げるケースが多く、危険と隣り合わせの仕事が続いた。

「3千メートルの高さでのホバリングは技術的に難しい。斜面に近づけば激突する恐れも高まる。慎重な操縦が必要だ」と話すのは同省の担当者。

ホバリング中、パイロットはエンジン出力やローター(回転翼)をコントロールし、機体を空中に静止させる。御嶽山山頂のような高地は空気が薄く、上昇気流や下降気流のほか突風も吹くため、高度な操縦技術がなければ機体を静止させられないという。

平成21年9月には岐阜県の北アルプス山中で、遭難者の救助にあたっていた県の防災ヘリが、ホバリング中にバランスを崩して墜落。操縦士ら3人が死亡する事故も起きている。

航空評論家の鍛冶壮一氏は「ホバリングは、風向きが変わっても即座に反応できる技術と判断力が求められる。噴火直後で視界不良の中で操縦できているのは、よほどの訓練を積んでいる証しだ」と、指摘する。

防衛省幹部は「厳しい現場だが、適切に対応しながら最後の1人まで発見したい」と話した。

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