「まるでパニック映画」…

画像の説明 略奪、武装警察、遊覧馬過労死…

大型連休「中国」凄まじき大混乱

大型連休中入りした10月1日(国慶節)、中国河南省・鄭州駅には大勢の利用客が押し寄せた(ロイター)

10月1日の国慶節(建国記念日)から約1週間にわたる大型連休に入っていた中国で、国内の観光地に多数の旅行客が押し寄せ、交通の混乱や文化財の損壊、動物虐待などの事態が続発した。収入が増えてレジャーを楽しむ余裕のできた中国人が一気に増える一方で、観光地の受け入れ態勢が立ち遅れているといった事情がありそうだ。

国営新華社通信によると、四川省の世界自然遺産、九寨溝の周辺では2日、バスに乗り切れない約4万人余りの観光客が路上にあふれて道路が不通となり、10時間も交通がまひした。さらに、九寨溝の観光スポットにたどり着けず、チケットの払い戻しを求める観光客の抗議が広がったため、武装警察が出動する騒ぎとなった。

江蘇省にある周恩来元首相の旧家記念館では、観光客が自分の名前を記念に書き込むなど、大量の落書きが見つかったという。

また、広東省深●(=土へんに川)市のテーマパーク・錦●(=糸へんに秀)中華には、高さ約10センチの陶器の人形は約5万個あったが、そのほとんどが「記念品」として観光客にもぎ取られた。人形一個のコストは約70元(1200円)、同テーマパークは人形だけで約350万元(約6000万円)の損害をこうむったという。

同じく深●(=土へんに川)市の野生動物園では2日、遊覧馬車を引いていた馬が路上で突然倒れて死亡した。観光客があまりにも多く、文字通り馬車馬のように休みなく働かされた末の「過労死」とみられ、ネット上では動物園を批判する書き込みが殺到した。

北京動物園では連休中、連日のように普段の2倍以上の約8万人が訪れたという。園内のサルや熊などにエサをやる観光客が後を絶たない。飼育員が中国紙記者に話したところでは、「毎年の連休後、食べ過ぎで糖尿病になる動物が多い」という。

各地で親とはぐれる子どもも多い。アモイ日報(電子版)によれば、福建省のコロンス島(鼓浪嶼)で2日間だけで、地元警察に届けられた子どもの捜査願は12件にのぼった。幸いその後、全員が見つかったが、

連休中の同島の混乱ぶりが伺える。

家族でコロンス島に行った北京の会社員は「連休中に観光に出かけると、どこに行って人の山だ。渋滞でトイレも行けない。食事する場所も見つからない。まるでパニック映画の中にいるようだ」と話している。

政府系シンクタンク、中国観光研究院によれば、今回の大型連休で旅行に出かける人数は昨年比で約12%増えて史上最高の延べ4億8千万人に達する見込み。一連の混乱について北京の旅行代理店関係者は、「いつもながらのマナーの悪さに加え、観光地のインフラ整備が遅れ、急増する観光客に対応できていない」と話している。

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