消費増税“先送り”の大合唱

画像の説明 スーパーが軒並み大苦戦で

小売り大手“2強”の2014年度上半期の決算は、明暗が分かれる結果になった。セブン&アイ・ホールディングス(HD)が過去最高益を達成した一方で、イオンは純利益が前年同期比91.4%減と大幅に落ち込んだのだ。

イオンの岡田元也社長は「次の税率引き上げで価格競争はさらに激しくなる」と懸念している

両社を分けた差ははっきりしている。セブンは本業のコンビニエンスストア事業が絶好調。セブン-イレブン・ジャパン単独でも、営業利益は同4%増で、過去最高となる1158億円を記録した。

一方のイオンは、本業の総合スーパー(GMS)事業が大不振。完全子会社化を9月に発表したばかりのダイエーが足を引っ張ってはいるものの、中核のイオンリテールも営業赤字へと転落。GMS事業全体では131億円の営業赤字(前年同期は110億円の黒字)を計上、全社の営業損益は同41.2%減の433億円、純利益も20億円にまで落ち込んだ。

イオンの岡田元也社長は、「消費増税後の戦い方が不十分だった」と釈明しつつも「この数字で底と考えている」と強気の姿勢を崩さなかった。

イオンとて、消費増税を無策で迎えたわけではない。4月以降、PB(プライベートブランド)商品「トップバリュ」を中心に約2万品目の価格を維持するという、実質的な値下げ攻勢に踏み切った。

だが、その効果は思うように挙がらなかった。増税後、GMSの客単価は回復基調にあるものの、肝心の客数が前年同月比95%程度で推移し続け、客離れを食い止めることができなかったのだ。

年末商戦直撃を懸念

セブンにとってもイオンの苦境は対岸の火事ではない。というのも、好調なのはコンビニ事業で、イオンと同じくGMS事業は苦しいからだ。

こうした中、セブン&アイHDの村田紀敏社長が言及したのが、消費税10%への引き上げの先送りだった。

村田社長は「消費環境は厳しい状態で、回復も前回の増税時よりも遅い。消費税の引き上げは社会保障などマクロな視点では必要だと思うが、タイミングを検討した方がよい」と語ったのだ。

とりわけ疑問視しているのが来年10月という時期である。「消費が戻るのには数カ月かかるため、年末商戦を直撃する。衣類や食品へのインパクトが大きい」(村田社長)というのだ。

岡田社長も「われわれの立場からすれば、消費税のさらなる引き上げはないに越したことはない」と、厳しい消費環境がさらに冷やされることを懸念する。

コンビニやドラッグストア、専門店チェーンなど異業種との熾烈な競争にさらされているスーパー。消費増税だけが苦境の原因とはいえないが、12月の政府判断を前に声を上げ、マイナス要素を少しでも取り除きたいというのが業界の本音のようだ。

コメント


認証コード4335

コメントは管理者の承認後に表示されます。