消費税

画像の説明 消費税再増税は日本経済の自殺になる可能性も

消費税再増税は日本経済の自殺になる可能性も

黒田日銀総裁や谷垣自民党幹事長は「消費税を上げなかった時のリスクのほうがより対処が困難だから、消費税を予定通りに引き上げるべき」という趣旨の発言をした。

麻生財務相にいたっては「消費税を予定通り引き上げないと世界中から信用が落ち外国人から国債が売り浴びせられる」などと発言した。「消費税を予定通り上げないと大変なことが起こるから、何が何でも消費税を上げろ」という脅迫のようである(そもそも、外国人による国債の売り浴びせといっても、外国人の日本国債保有比率は4%程度にすぎないのに「売り浴びせ」のようなことは可能だろうか)。

しかし、今年の消費税8%への増税の影響は思った以上に大きく、昨年のアベノミクスの勢いは完全に失われている。重要な個人消費は消費税増税による反動減からの回復も弱々しいままだ。個人の実質所得も消費税増税の影響をモロに受けて伸びはマイナスになっている。

いわば、日本経済は回復途上といっても病み上がりでヨロヨロしている状態である。景気回復の足取りが覚束ないにもかかわらず消費税を短期に5%から10%へと倍増させれば、個人消費に及ぼす影響は甚大なものとなろう。今年消費税の再増税の決断をすると、日本経済が墜落してまたデフレ・スパイラルに回帰してしまうおそれがある。

そうなれば、せっかく消費税を再増税したにもかかわらず税収は大幅に落ちて、意図とは逆に財政も悪化してしまう。そうなった場合に金融・財政政策で簡単に対処できるのであろうか。「消費税を上げなかった時のリスクのほうがより対処が困難」と簡単に比較できるのだろうか。

景気が回復したと過信して消費税増税を拙速に実施して日本経済の大失速を招いた橋本政権が頭をよぎる。また、財政再建についても増税で国の収入を増やすことばかりが主張されるが、支出抑制のプランがほとんど示されていない。公共事業や公務員の給与等の支出が増えるばかりで、負担のみが増える側の国民はたまったものではない。

谷垣氏は法律に書いてある通り増税すべきと主張するが、法律にも景気の状況をみて判断すると付帯条項が書いてある。日本経済が消費税再増税で自殺するような事態を引き起こすよりも、景気回復を確実なものにしつつ消費税再増税の時期を再考し、財政再建についても景気回復への第三の矢と支出抑制のプランを併せて示すほうが信任を得られる可能性があることを十分考慮すべきだ。

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