239人

画像の説明 社会福祉法人に天下り239人 昨年度、都府県幹部ら

社会福祉法人に再就職した職員が多い自治体

特別養護老人ホームや保育園などを運営する社会福祉法人(社福)に、都府県や政令指定都市から昨年度内に少なくとも計239人の幹部職員らが再就職していたことがわかった。自治体には社福に補助金を出すなどの優遇をしたり福祉事業を委託したりするところがあり、全国の社福のなかで一部が職員の天下り先になっている。

社協の課題 人・カネ、行政頼り

朝日新聞は47都道府県と20政令指定都市の67自治体について、2013年度に社福に再就職した職員数を尋ねたり公表資料を調べたりした。このうち北海道など5自治体は調査や公表などをしていなかった。

回答や公表があった62自治体のうち、57自治体では課長級以上の職員らが退職後に社福や施設の幹部などに就く例があった。福祉担当の職員が多いが、関係のない担当の職員もいる。宮崎県など5自治体はゼロだった。

再就職が最も多かったのは名古屋市の15人だった。このうち7人は、特養などを運営する「なごや福祉施設協会」の理事長や施設長などに就いた。

協会は市が中心になって設立した経緯から、特養12カ所の施設長はすべて市OBが務めている。協会は「設立して20年余りで、管理職クラスが十分に育っていないため」と説明する。

京都市は11人いた。このうち3人は保育園などを運営する「京都社会福祉協会」の事務局長や保育園長に就いた。市がつくった保育園の運営を委託されていたこともあり、市OBの受け入れが続いている。

協会は「管理職経験がある市職員は、労務管理や対外折衝ができる。広い視野で組織を活性化させるためにも、市OBの採用は意味がある」と説明する。

自治体職員が再就職した社福のうち最も多かったのは「社会福祉協議会」(社協)で、2割強の54人にのぼる。社協はすべての都道府県と市区町村にあり、在宅介護の支援や一人暮らしの高齢者の支援、障害者の自立支援などを進めている。地域の福祉活動の拠点だ。

「社会福祉事業団」も25人と多かった。全国に約130あり、自治体から委託を受けるなどして特養などの福祉施設を運営する。

これらの社福は自治体との協力や委託が多く、自治体職員の経験も生かしやすい。5人が再就職した北九州市は「役所での経験を生かせるところに再就職している。再就職先には退職金は払わないように要請もしている」と説明する。

一方、上智大の藤井賢一郎准教授(社会福祉学)は「NPOやほかの法人でもできる福祉サービスを、自治体が職員の再就職先の社福を優先して委託したとみられる例もある。予算の無駄づかいやサービスの質の低下につながる可能性もある」と指摘する。(生田大介、加藤裕則)

     ◇

社会福祉法人〉 全国に2万法人近くあり、特別養護老人ホームや障害者施設、保育園などの施設約16万カ所の半分近くを運営する。お金もうけを目的にしない非営利の民間団体で、法人税や固定資産税が原則免除される。一部の自治体が施設建設に補助金を出すなど行政との関係が強い法人もある。

コメント


認証コード6482

コメントは管理者の承認後に表示されます。