中韓露に相次ぎ出張の舛添氏、

画像の説明 「なぜ都知事が」誤解与える恐れ

4月の中国、7月の韓国、今月上旬のロシアと続けて海外出張した東京都の舛添要一知事。関係が冷え込む国々ながら、都市間の協力強化を図ることで一致し、舛添知事は成果を強調する。ただ、国家間の懸案に触れる機会も多く、海外に誤ったメッセージを与える恐れがあり、「なぜ都知事が外交を」との批判もある。

事実と異なる紹介

「日本が一方的にロシアに制裁していることは、日露関係にどのような影響をもたらしていると思うか」

訪露中に現地メディアからは、何度かウクライナ情勢に関する質問が飛んだ。舛添知事は「私たちはアメリカに軍事的に依存せざるを得ない。苦しい立場を理解してほしい」と自身の見解を述べた。だが、現地メディアは「米国は日本が対露制裁を導入するために圧力を加えた」と報じ、別のメディアは舛添知事を「日本の高官」と表現した。

韓国出張でも現地メディアに「安倍(晋三)首相の特使」「都民の9割が韓国を好きと述べた」と事実と異なる内容を報じられた。事実関係やニュアンスの違いは海外メディアの取材を受ける上での“通過儀礼”かもしれないが、内容によっては深刻な影響を招く。

都庁には批判の声

中国で汪洋(おうよう)副首相から安倍首相の靖国神社参拝、韓国で朴槿恵大統領から歴史認識問題について指摘があった。舛添知事は反論する立場になく、先方の言い分を黙って聞き、うなずく姿がクローズアップされた。

知事就任後、予定分を含め海外出張は計5回。都庁を空ける機会が多ければ危機管理面でも不安が出る。訪露中も都内でデング熱感染が拡大し、9日の定例会見で「(都内に)いれば何らかの判断をしたかもしれないが、会議などでできないこともあった」とした。

ある都職員は「短期間でのこれ以上の海外出張は都民の理解を得られないのでは」と懸念。都庁には8月22日までの1カ月間で、2万件以上の都市外交に関する意見が寄せられ、大半は「都政に力を入れるべきだ」などの批判だった。

だが、舛添知事はロシアで、都市間の協力推進について「国と国との関係の改善に役立つ。そういう哲学で都市外交を今後とも進めたい」とし、モスクワ市長との面会後、近く公式訪問することに意欲を示した。

東京都元副知事の青山●(=にんべんに分の刀を月に)・明治大学大学院教授(公共政策)は「都市間交流で相互理解を深めることは意味があるが、都市外交ばかりでは本末転倒。福祉施策などで成果を上げている姿を都民に見せ、理解を求めることが必要」と述べた。

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