APEC控え中国外交ちぐはぐ

103 (2) 一部では融和姿勢、軍や保守派反発か

中国の習近平政権は日本や東南アジア諸国との要人会談に積極的に応じるなど、周辺国との関係修復に乗り出している。11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を議長国として成功させたい思惑があるようだが、メディアを使った日本批判キャンペーンは続けるなど強気な面も。融和か強硬か、中国の外交がちぐはぐしている。

2012年11月に発足した習政権は当初、歴史認識や領有権主張で対立する日本など周辺国に対し、外交交渉を拒否するなど強硬姿勢を貫いてきた。しかし、習主席が7月に福田康夫元首相との会談に応じたほか、今月には南シナ海で領有権を争うベトナムの共産党書記長の特使と会談して「両国の関係を正常に戻したい」と述べるなど、最近は態度を軟化させている。

中国外交関係者によると「中華民族の偉大なる復興」を政権スローガンとして掲げる習主席は11月のAPECを、中国の存在感を国内外にアピールする場と捉えている。会議を成功させるために、関係が悪化している国々との対立を取りあえず封印する必要があると判断したという。

中国がAPECの議長国を務めるのは今回で2回目。01年10月に初めて中国国内(上海)で開催したときは、米中枢同時テロの直後で「テロとの戦い」に関心が集中して存在感を示せず、悔しい思いをした経緯があった。

ただ、急な軌道修正は国内で違和感も与えている。これまで国内メディアを使って日本やベトナムなどに対する批判キャンペーンを展開してきたためで、インターネットには融和姿勢に批判的な書き込みも多い。

一方、中国外務省の報道官は連日のように、歴史認識問題などで対日政策に「変化はない」と主張。フィリピンと領有権を争う南シナ海では、軍事施設の建設工事を進めているという。今月には中国軍機が米軍機に異常接近する事件も起きた。一貫しない外交の背後には、融和路線に不満を持つ軍や保守派による反発がある可能性もある。

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