恥を知れ!火事場泥棒

画像の説明 土砂災害発生から1週間。

作家の新田次郎さんは子供のころ、火事の焼け跡から面白半分に黒焦げの木片を拾って帰った。これを見た祖父が烈火のごとく怒った。「火事場からはどんなものも持ってきてはいけない。いますぐ元の所に返してこい」。新田さんは仕方なく、暗い1里の夜道を返しに行ったという。

▼次男の数学者、藤原正彦さんが書いていた。幕末の下級武士の家に生まれた祖父は「泥棒の中でも火事場泥棒ほど恥ずかしいものはない」と繰り返し教えたそうだ。広島の土砂災害の被災地で空き巣被害が相次いだ。警察官を名乗っての「避難勧告が出たので避難を」という不審な電話は、住民をおびき出す狙いだろうか。

▼阪神大震災でも東日本大震災でも、暴動や略奪は起きず、世界から称賛された。藤原さんは「このような日本人の規範意識は(卑怯を憎む)武士道精神に根差している」と言う。行方不明者の懸命な捜索活動が続けられているそばで火事場泥棒とは。恥ずかしくないか。

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