スコットランド

画像の説明 英国はやはり一つがいい

ユニオンジャックの名で親しまれる英国旗から、青地に白のX部分が消えるかもしれない。

9月18日にスコットランドで予定されている独立の是非を問う住民投票の世論調査で、賛成派が反対派との差を詰めている結果もあるからだ。

仮に、独立賛成派が過半数を得れば、英国にとって1922年の現アイルランドに続く連合王国の分裂となる。

人口比率で約8%とはいえ、通貨問題を含め世界経済の波乱要因になるのは必至だ。英国の外交政策や軍事態勢にも重大な影響を及ぼすだろう。日本も政治、経済両面で軽視できない。

スコットランドがイングランド王国と「合併」したのは、300年以上前の1707年だ。武力、経済力ともに勝るイングランドによる支配だという、スコットランド側の不満は伝統的に根深い。

そうした中、2011年のスコットランド議会選挙で、独立を強く主張する地域政党が初めて過半数の議席を獲得した。住民投票はその選挙公約によるものだ。

独立支持勢力は、分離後も英ポンドを継承し、独自に欧州連合(EU)加盟も目指すという。

ただ、英政府と防衛の軍事協力は維持するものの、地域にある原子力潜水艦基地の核ミサイルを撤去する考えも示している。

独立を目指す背景には、1960年代に発見された北海油田の存在が色濃い。

欧州最大の埋蔵量とされる石油・ガス資源を支配下に置くことで、独立すれば1人当たりの所得が年1000ポンド(約17万円)増えると主張している。

スコットランドの独立については、民族自決の原則から支持すべきだとする考えもある。

だが、英国を構成する北アイルランドやウェールズに飛び火しかねないことに加え、スペインのバスク地方など、周辺国の過激な分離独立運動を刺激するリスクも大きい。

なによりも、国際社会における英国の存在感が著しく弱まる。それは英国のみの問題にとどまらない。EUでは景気の低迷を背景とした不協和音の高まりから、求心力より遠心力が強まっている。

この問題が欧州の混乱を加速し、ロシアや中東地域を含む国際社会の不安定化を招かないか。

投票に臨むスコットランド住民にも心してほしいことだ。

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