エネルギーゼロ

俳句の日
次世代ビル 大成建設が2020年までに都市部で展開
大成建設は、1つの建物で年間の消費エネルギーと創出エネルギーの収支がゼロになるゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実証棟を、同社技術センター(神奈川県横浜市)に建設した。政府が新築公共建築物で実現を目指す2020年までに、オフィスビルが集中する都市部で展開したい考えだ。
実証棟は鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積が約1300平方メートルの免震構造になっている。ZEBを実現するため空調設備や照明、コンセントの省エネを図り、年間エネルギー消費量を一般的なオフィスビルと比べて75%削減。残る25%は太陽光パネルによる創出で補い、収支ゼロを目指す。
国内の電力使用量の48%が都市部に集中していることから、大成建設では都市部のビルのZEB化に取り組む。都市部では1つの建物もしくは狭いエリアで収支を合わせなければならない。実証棟では、新しいシステムの開発や従来技術の効率的な組み合わせで徹底的な省エネを図る。
空調では、風や外の気温、建物内の人の位置といった各種データから、どの窓を開閉すると快適かを教えるシステムを導入。座席の足元に吹き出し口を設け、好みの風量や風向きを選べるようにした。また高密度市街地で建築面を最大限確保するための工夫や、超高強度コンクリートを採用し、見通しよく解放感のある空間を作りあげた。
省エネでは、一般的なオフィスビルの消費エネルギーの約2割を占める照明で一層の削減が求められている。そこで開発したのが、無線技術を使って照明器具を調光制御できる無線制御システム「T・グリーン・ワイヤレス」。オフィスでレイアウト変更があっても機器配置や配線の変更工事を必要としない。
同システムは照明電源のオン・オフ制御と調光設定の2つの機能を備えた小型無線制御ユニット(子機)と総合管理を行う無線制御機(親機)で構成。照明メーカーを問わず、さまざまな照明器具への制御が可能で、働く人の快適性や生産性の向上のため、将来のリニューアルやレイアウト変更も見据えた。
照明器具の無駄な待機電力をカットできるほか、明るさを一定に保つ簡易初期照度補正や任意の明るさへの設定変更が可能な機能も搭載。消費電力をグラフ表示で「見える化」して節電効果を確認できる。
また実証棟で必要になるエネルギーは、屋上に設置した効率性の高い太陽光パネルと、壁面に貼った有機薄膜太陽電池で創り出す。三菱化学と共同開発した軽い電池を使って、デザイン性に富んだ壁面で太陽光からエネルギーを創出する。ただ実証棟で必要なエネルギー(66キロワット)のうち、外壁の薄膜電池で作れるのは10キロワット程度。ビルが高層化するにつれて、必要となるエネルギーも増えるが、屋上の広さが限られることから薄膜電池の効率をより向上させる必要がある。
ZEBは、09年に経済産業省から提案された。建物で消費するエネルギーを極限まで少なくし、さらにエネルギーを創出する設備を持つことで年間の収支がゼロとなる建物だ。 海外では米国やシンガポールで郊外の大学や政府系施設などの建物に採用。冷房が不要な気候でエネルギー消費量が低い地域や、エネルギー負荷の小さい低層建物、他の建物や駐車場などの太陽光発電も利用して対象となる建物のエネルギー創出に役立てるなど比較的容易に実現している。

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