迎撃システム 

朝顔2 「鉄のドーム」高い防御力 

ガザからのロケット弾9割撃墜 イスラエルの迎撃システム 

パレスチナ自治区ガザからイスラエルに撃ち込まれたロケット弾は、「鉄のドーム」と呼ばれる防衛システムで無力化される。成功率は9割。米国の資金援助に支えられ、圧倒的な攻撃力に加えて高い防御力も確立した。しかし、イスラエルは「自衛のため」としてガザへの攻撃の手を緩めていない。

エルサレム北西部。10日夕、ガザからのロケット弾飛来を知らせるサイレンが鳴った。「必死で防空シェルターに避難したから迎撃の瞬間は見なかったけど、すごい音がした」

近くで食堂を経営するコビ・エルカヤムさん(25)は、向かいの丘に今月配備された「鉄のドーム」が迎撃に成功したと後で聞いた。「これなしの生活は考えられない」

迎撃弾を発した砲台は高さ3メートル、1メートル角ほど。記者が訪れると、ガザ方向の空をにらんでいた。「鉄のドーム」はレーダーの情報を基にロケット弾の軌道を予測、迎撃するシステムの総称だ。荒野に着弾しそうなものには反応しない。有人地域に飛んできそうだと判断すると、発射された迎撃弾が回り込むようにしてロケット弾を破壊する。

米国の資金援助で開発され、2011年に初めて砲台4基が配備された。イスラエル国防省によると、12年にガザのイスラム組織ハマスと交戦した際は421発を迎撃。成功率は84%だった。9基に増やした今回は、8日からの11日間にガザから撃ち込まれたロケット弾は1637発。大半は荒野に向かったため迎撃弾は発射されなかった。

しかし、有人地域に飛来したためシステムが稼働し、撃墜したロケット弾は340発。成功率は86%だという。

今回のイスラエル軍による空爆や地上侵攻で、パレスチナ側の死者数は500人を超えた。一方、イスラエル側の死者は兵士18人と市民2人。「鉄のドーム」の有無の差は歴然としている。

それでも、イスラエル政府は「自衛」のための空爆や地上侵攻を緩める気配はない。ネタニヤフ首相は20日、米CNNテレビのインタビューで「鉄のドーム」に触れ、「(迎撃を)かいくぐってくるロケット弾もある。ハマスは地下トンネルでの侵入も試みてくる。これを止めねばならない」と述べ、ガザへの空爆や地上侵攻が欠かせないとの立場を強調した。

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