日本でまったく知られていないイベントとは?

アイス 世界を代表する企業の経営者や大物投資家が一同に集まる、

世界を代表する企業の経営者や大物投資家が一同に会するカンファレンスがある。しかし、日本ではまったく知られていない。今回は秘密のベールに包まれたその会合を紹介したい。

マイクロソフト元会長で慈善事業家のビル・ゲイツと、オマハの賢人と言われる大物投資家ウォーレン・バフェットが肩を並べて歩くカンファレンスとは? 

ニュースのポイント

毎年7月、米アイダホ州サンバレーでアレン&カンパニー主催のカンファレンスが開かれる。招待客限定のためか、知名度は決して高くはないが、世界を動かす超大物経営者が顔を揃えるこの集まり、知っておいて損はない。

西海岸で最も尊敬される2人の投資家

毎年この時期になると、米アイダホ州サンバレーという避暑地で、投資とコンサルティングをビジネスにするアレン&カンパニー主催のカンファレンスが開かれる。1983年にスタートした会合で、もともとはメディア業界(=ハリウッド)の大物が顔を見せる集まりとして知られるようになった。2000年代半ばからは、シリコンバレーの連中も幅を利かせるようになっている。

ブティック投資銀行としてのアレン&カンパニーはここ数年、現在の経営者であるハーバート・アレン3世のもとでテクノロジー業界の取り扱いを増やしてきた。そのアレン3世がシリコンバレーに食い込むきっかけとなったのが、マーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツとの出会いである。2人は今ではシリコンバレーで最も尊敬される投資家になったが、出会った当時の2002年は、オンラインストレージのベンチャー企業であるラウドクラウドを経営していた。

アンドリーセンは、90年代はブラウザーの元祖「モザイク」の開発チームにいたスター技術者として注目を集め、その後は同じくブラウザーを開発するネットスケープ社やラウドクラウドの共同設立を通じてIT起業ブームの顔となった人物だ。ネットスケープでアンドリーセンと同僚だったホロウィッツは、ラウドクラウドのIPOと売却の後も彼と歩みを共にしている盟友だ。

ハリウッドとシリコンバレーの交差点

アンドリーセンとホロウィッツのコンビが一緒にベンチャーキャピタル(VC)を立ち上げ、Facebookなどの様々なIT企業に投資してきたことはよく知られている。この2人をアレン3世に引き合わせたのが、大手タレント・エージェンシーのCAA創業者で、一時はウォルト・ディズニーのナンバー2も経験したマイケル・オービッツである。ハリウッドとシリコンバレーが交差した瞬間である。

余談だが、ホロウィッツは大のヒップホップ好きとして知られ、先に開催されたカンヌ国際広告祭で、カニエ・ウェストらとパネルディスカッションに参加していた。

アレン&カンパニーのカンファレンスは招待客限定で敷居が非常に高く、どんな話があったのかはなかなか外部に出てこない。それでも、時には漏れ聞こえてくるエピソードもある。

2013年にはAmazonのジェフ・ベゾスと『ワシントン・ポスト』元社主のドナルド・グラハムが、このカンファレンスで対話したことが、後のベゾスによる『ワシントン・ポスト』買収につながった(関連記事:老舗新聞ワシントン・ポストの身売りで米メディアは大騒ぎ)。そのほかにも、コムキャストによるNBCユニバーサル買収、AOLのタイム・ワーナー買収、ウォルト・ディズニーによるABCの買収など、メディア関連の大型買収にはこの集まりが一役買っていた。

また、2010年にFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOが、ニュージャージー州ニューアーク市の教育改革に1億ドルを寄付することになったのも、この集まりで市長のコーリー・ブッカー(当時、現在は連邦上院議員)と会ったことがきっかけだった。(ニューアークの教育改革はその後、大変なことになっているようだが)

2014年の招待客も大物揃い

2014年の招待客の面々だが、まずテクノロジー業界から紹介しよう。なお、このリストはあくまでも“招待”の話。実際に参加したかどうかは本人の気持ち一つ、である。

•マーク・ザッカーバーグ(Facebook CEO)

•シェリル・サンドバーグ(Facebook COO)

FacebookのWhatsApp買収では、アレン&カンパニーがアドバイザーになっていた。リストを続けると、•エリック・シュミット(Google取締役会長)
•ラリー・ペイジ&サーゲイ・ブリン(Google共同創業者)
•ティム・クック(Apple CEO、)
•マリッサ・メイヤー(Yahoo! CEO)
アジアのテック企業からは、•ジャック・マー(中国アリババ創業者、今夏にも米国でIPO)
•マーティン・ラウ(中国テンセント社長)
•李在鎔(サムスングループ副会長、創業者の孫で現会長の息子)

新顔は下記の通り。•ベン・シルバーマン(ピンタレスト創業者、楽天も出資)
•ブライアン・チェスキー(AirBnB共同創業者)
•ニック・ウッドマン(先日株式公開を果たしたGoProのCEO)

一方、メディア業界からは超大物の常連が並ぶ。•ルパート・マードック(News Corporation総帥、20世紀フォックスにも影響力を持つ)
•ジェームズ&クラウン・マードック(ルパート・マードックの2人の息子)
•ジェフリー・カッツェンバーグ(ドリームワークスSKGの“K”)
•バリー・ディラー(IAC/インタラクティブコープ会長。パラマウント映画や20世紀フォックスのCEOを歴任した超大物。GQ的には“ダイアン・フォン・ファステンバーグの夫”か)
•ジェフリー・ビュークス(タイム・ワーナーCEO)
•レスリー・ムーンブズ(CBS CEO)
•マイケル・ブルームバーグ(ブルームバーグ創業者、元ニューヨーク市長)

今年はコムキャストによるタイムワーナー・ケーブルの買収、それにAT&TのディレクTV買収の話が持ち上がっているせいか、コンテンツよりも配信インフラに注目が集まりそうだ。コムキャストのブライアン・ロバーツと、AT&Tのランドール・スティーブンソンという2人のCEOの動向に関心が集まっている。 スポーツ界からは、米4大プロスポーツ(フットボールのNFL、バスケットボールのNBA、ベースボールのMLB、アイスホッケーのNHL)のトップに招待状が送られた。•ロジャー・グッデル(NFLコミッショナー)
•アダム・シルバー(NBAコミッショナー)
•バド・ゼリグ(MLBコミッショナー)
•ゲイリー・ベットマン(NHLコミッショナー)

ゴシップサイトのDeadlineは、今年のカンファレンスのアジェンダを次のように伝えている。

•ラリー・ペイジとベン・ホロウィッツの対談
•バリー・ディラー、ジェームズ・マードック、ブライアン・ロバーツによるパネルディスカッション
•ウォーレン・バフェットとジェフ・ベゾスへのインタビュー
•フィル・ジャクソンへの「リーダーシップ」をテーマにしたインタビュー
•ジョン・ケリー国務長官へのインタビュー

バークシャーハザウェイCEOのバフェットは、読者の多くもご存じの通り、伝説の投資家として知られた人物。ビル・ゲイツのポーカー仲間としても有名だ。現在はNBAニューヨーク・ニックスの社長を務めるフィル・ジャクソンは、NBAきっての名ヘッドコーチである。マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペンらが所属したシカゴ・ブルズ黄金時代を率いた名監督、と聞けば「あぁ、あの人」と思い出す読者も多いだろう。選手時代の2つを含め,計13個のチャンピオンリングを持つ名プレイヤー&指導者である。 

Bloombergは、「ディック・コストロ(Twitter CEO)、ジェフ・ワイナー(LinkedIn CEO)、リード・ホフマン(LinkedIn会長、グレイロック・パートナーズ)、ティム・アームストロング(AOL CEO)の姿を見かけた」と伝えている。さらに今年は主催者側が「無人機(ドローン)の侵入と空撮に神経を尖らせている」とも書いてあって、非常に興味深い。

過去にはソニーCEOの平井一夫や、楽天社長の三木谷浩史といった日本人経営者も参加したことが報じられていたが、今年はどんな人物が参加し、どんな話をしたのだろうか--そんなことを考えるだけでも、楽しいものだ。

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