「満額支給」 

朝顔 「身を切る改革」風化 10月まで国会議員歳費

国会議員の歳費を20%削減する措置が終了してから30日で2カ月が経過する。「満額支給」は10月末まで続くのは確実で、野党の一部には削減幅を30%に拡大しようとする動きがみられたが、国会議員自らが訴えた「身を切る改革」は風化している。

歳費は東日本大震災の復興財源確保を目的に平成24年5月から12・88%の削減が始まった。この年の11月には、当時の野田佳彦首相と野党だった安倍晋三自民党総裁が党首討論で、衆院解散の条件として消費税増税に伴い議員定数を削減する方針を確認。定数削減が実現するまで歳費を20%削減させることになった。

ただ、この時の歳費削減特例法は今年4月末までの時限立法。継続措置がとられなかったため、衆参両院の国会議員は5月以降、月額約129万円の歳費が満額支給されている。削減終了は自民、民主両党が継続に後ろ向きだった影響が大きい。自民党は「新人議員の政治活動に支障をきたす」(石破茂幹事長)と難色を示す。民主党に至っては今月中旬、議員の待遇改善を検討する第三者機関を国会に設置する案を日本維新の会に打診している。

一方、維新、みんな、結いの野党3党は今年4月、28年末まで歳費を30%削減する議員歳費法の改正案を国会に提出している。しかし、改正案は審議されないまま通常国会は閉会。秋の臨時国会で速やかに成立させたとしても10月末まで歳費の「満額支給」が続く。

維新幹部は「時代に逆行した民主党などの感覚はおかしい」と批判する。しかし、その維新の国会議員団も当初は10%削減の方針だった。30%削減になったのも橋下徹共同代表(大阪市長)が「維新の公約は30%削減だ」と“一喝”したからだ。5月以降は維新が他党に削減を積極的に働き掛けることもなく、「ポーズにすぎない」(自民党筋)との声もくすぶる。

安倍首相は12月に来年10月の消費税10%への引き上げの最終判断を行う。国会議員の「身を切る改革」の本気度が問われる局面となるが、現時点で各党とも重い腰を上げる気配はない。

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