トラブル続きで95%以上失敗の衝撃 

画像の説明 中国の海外鉱山開発、

トラブル続きで95%以上失敗の衝撃 強引すぎる手法再考の時

中国はエネルギー不足を補うために、海外での資源開発に力を入れてきたが、各地で現地労働者によるストライキや本国から派遣された中国人の拘束・殺人事件など、トラブルが相次いでいる。中国のある業界関係者は、第11次5カ年計画(2006年~10年)の期間に中国企業が海外で買収した鉱山の95%以上は失敗だった、との衝撃的な数字を明らかにしている。

中国は江沢民時代の1990年代末に「走出去」政策を打ち出した。海外での資源の確保、市場の開拓を目的とした中国企業による海外投資戦略である。これによって対外直接投資は急増し、2013年には156カ国・地域で5090の企業向けに、合計902億ドル(約9兆2031億円)の規模に達している。1990年代初めに比べれば、約30倍もの増え方である。

その先頭に立ったのが資源関連の大手企業だった。石油を初め、鉄鋼や非鉄金属など多くの企業がアフリカや中南米、オーストラリアなどの油田や鉱山を買収していった。その後は商業・サービス、製造業などの投資が増えていくが、それでも2013年の資源関連の直接投資は202億ドルと多い。商業・サービスの294億ドルに次ぐ規模である。

現地の状況を理解せず問題引き起こす中国

ところが現地での資源開発はあまりに強引過ぎた。その土地の気候や食べ物に合わなくて体調を崩すことを中国語では「水土不服」と呼んでいるが、それと同じような症状が資源開発でも現れてしまった。現地の状況をほとんど理解しないまま進出したため、賃金や諸手当、さらには環境汚染、宗教など様々な問題を引き起こしてしまう。

代表的なのが、06年からオーストラリア西部の鉄鉱山を開発している、中国政府系大型複合企業傘下にある中信泰富(CITICパシフィック)の例だ。当初は42億ドルを投じ10年には生産開始の予定だったが、賃金問題などが障害となり大幅に遅れてしまった。昨年末にようやく出荷を開始したが、本格生産とはほど遠い。投下資金も100億ドルを大幅に超えそうである。

トラブルの発生は資源開発だけではない。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)のある責任者は、対外直接投資全体でも、成功率は約4割でしかない、と語っている。対外直接投資が海外からの直接投資(13年は1175億ドル)を抜くのは時間の問題だろうが、これまでのような急拡大にはブレーキがかかろう。対外投資のあり方を全面的に見直す時期に来ている。

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